大きな会社ならともかく、
従業員が数名などの事業所では、
退職金を払うのは数年に一度。
受け取る人も、退職金を受け取るのは初めてで、
金額はそこまで高額ではない。
そういうケースを良く見るので、
その場合に限定して、わかりにくい退職金の処理を
わかりやすく説明します。
結論としては、作成する書類が2つあります。
退職時に、税務署に提出するものは、ありません!
退職金は、給料計算ではない
一般的に、退職金は勤めた年数に応じて払われます。
そのため、「給料の後払い」的なものと言われてます。
でも、税金の計算では、
「給与」所得と、「退職」所得は、
まったく別のもの。
だから、計算の方法も違います。
「退職金は、給与計算じゃない」
と理解すればOK。
だから、給与ソフトには、
退職金の計算機能は付いていないことも多いです。
ちなみに、退職金の支給は、義務ではないです。
退職金を支払う事業所は、
規則や契約に退職金があることや、
いくら払うのかを定めています。
退職金があるという約束がなかったなら、
退職金は出ないです。
退職金の定めはないけど、
あの人はがんばってくれたから払いたいね、
と社長が言い出すことは、よくあります。
退職金の定めがなくても、退職金は払ってOKです。
ただし、もらえないほかの従業員から不満が出ないよう注意。
このひとだけ特別に退職に伴う功労、慰労金として払う、
支給を機に退職金規程を作るなど、
会社の内部でどう位置づけて説明するか、気をつけましょう。
作る書類① 退職所得申告書
作る書類の1つ目です。
申告書?なんで?という感じですよね。
実物はこんな感じ。
国税庁のHPに用紙があります。
細かくて、見るからに難しそう。
わかりやすく説明しますね。
まず、この書類は、
立ち位置がわかると理解しやすいです。
この書類は、年末調整のときなどに従業員に書いてもらう
「扶養控除等(異動)申告書」とあり方が似てます。
年末調整のときの申告書は、原則として、
★提出する/しないは従業員の自由
★書くのは従業員
★書いてもらった申告書は税務署に提出しない
★書いてもらった申告書は事業所が保管する
です。
でも、年末調整の実務の現場では、
提出する/しないは従業員の自由、なんですが、
いちぶを除いてほとんどの職員が提出してますよね。
書くのは従業員、なんですが、
書き方がわからない従業員も多いので、
経理で書き方を指導してあげたりしますよね。
この退職金の申告書も同じです。
申告書を書くかどうかは退職者の自由です。
でも、書かない場合には、
退職金の約2割(!)の税金を税務署に仮払いすることになり、
退職者本人が自分で確定申告をしなければ、仮払いした税金は戻りません。
なので、普通はみんな書きます。
そもそも従業員は書く/書かないの選択の存在やその違いは
意味がわからないし、言われるがままという人が多いでしょう。
ですから、実務の現場では、
事業所が従業員に「書いてもらう」という感じではないでしょうか。
原則として、記入するのは従業員ということになってますが、
実際には、退職金の申告書をひとりでは書けないでしょう。
やはり実務の現場では、
経理が書き方を指導して「書いてもらう」という感じではないでしょうか。
そして、書いてもらった退職金の申告書は、
税務署に提出しません。
事業所が保管していればOKです。
書いてもらうこと、保管することを忘れたら、
税務調査でのリスクは大きいとなります。
では、書き方を超ざっくり説明します。
退職金を受け取るひとが、
今回、生まれて初めて退職金を受け取るなら、
記入するのは青の部分だけ!
その場合の書き方です。
書類の大部分は無視してOK!
青い部分の記入のしかたです。
左上の部分に、
「退職金を払う事業所」の住所・名前を書きます。
右上の部分に、
「退職金を受け取る従業員」の住所・名前を書きます。
「同上」というのは、「上に書いてあるのと同じだよ」という意味です。
2文字で済みます。
左下の部分は、
①に、「退職金の支払日」を書きます。
②には、チェックを2か所入れます。
退職者が、障害が原因の退職だったり、
生活保護を受けていなければ、
「☑一般」「☑無」にチェックです。
右下の部分は、
③のいちばん上の欄に、
「退職者の就職日・退職日」を書きます。
その右側には、「就職日から退職日までの年数」を書きます。
年数は、月切り上げです。
図の例だと、24年と6ヶ月なので、切り上げて25年ですね。
もしも、退職者の勤めた年数が5年以下の場合は。
③のいちばん下の欄「うち、短期勤続期間」にも、
就職日・退職日と年数を書き写してくださいね。
以上です。
簡単ですね。
作る書類② 退職所得の源泉徴収票
支給する退職金ですが、ざっくり、
40万円×勤めた年数までは、基本的に0円です。
5年なら200万円、10年なら400万円。
それより多く払う場合は、税金の計算が必要です。
今回は、そんなに払わない場合、
税金の発生しない範囲の金額を払う場合の説明です。
作る書類はこれです。
これは、経理側で作る源泉徴収票です。
毎年渡しているお給料の源泉徴収票には、
お給料の金額が書かれています。
最初に説明したように、
退職金はお給料ではありません。
なので、源泉徴収票も、お給料とは別で作るんだ、
と理解すればOK。
用紙は国税庁のHPにあります。
では書き方です。
上の部分に、
「退職金を受け取る従業員」の住所・名前を書きます。
真ん中は飛ばして、
下の部分に、
「退職金を払う事業所」の住所・名前を書きます。
真ん中の部分です。
3つの段のうち、一番上の段に書きます。
左に退職金の金額を書きます。
残りの税金の部分はゼロ。
簡単ですね。
生まれて初めて退職金をもらって、
①の書類もちゃんと書いて、
退職金額も少額の場合です。
あとはその下の細いところ。
右側の部分に、
「就職日」「退職日」「勤続年数」は
書類①から書き写します。
左側の部分の「退職所得控除額」は、
勤続年数が20年以下なら、
「40万円×勤続年数」でOKです。
20年を超える場合は、
「800万円」+「70万円×20年を超えた部分の年数」です。
1年あたり40万円だったのが、20年を超えると70万円にアップします。
ですが、退職金が少額で控除額を大幅に下回るなら、
こんな計算あまり関係ないですよね。
気楽にやりましょう。
以上です。
これは源泉徴収票なので、従業員にわたします。
それだけです。
源泉徴収票も提出はありません。
退職金を受け取ったらどうするか
退職金を受け取った従業員側の話も書いておきます。
特にすることはありません。
今回の内容に沿った退職金の受け取りであれば、
それによって確定申告が必要になることもありません。
以上、役員の退職金にはまた別の論点があるので、
あくまで従業員の退職金の話です。
あとがき
さいきん「ゴミ出しリマインダー」というアプリのおかげで、
ゴミの出し逃しがなくなった。
すごいストレス減った!
うちの地区は、回収日が隔週とかじゃなくて、
第2・4土曜とかが多く、
たとえば第5土曜がある月に、
第4土曜に忘れると、次の回収日が3週間後で、
その3週間後に限ってまた二日酔いして、
出せなかったときのあの絶望感。笑。
第○曜日のリマインド機能は最近増えてきましたが、
リマインドだけだとやっぱり出しそびれるのよね。
その点これは、ヴィジェットが良い。
こんな感じで、
2日前からゴミの日が近づいてくるのがひと目でわかる。
だから絶対に忘れない。
忘れないから、普段はゴミ出しのことを忘れていられる(これ大事!)。
・・・これがどんだけQOL爆アゲか、
わかるひとにはわかってもらえるよねえ。