法人の決算書に注記される「1株当たり当期純利益」
計算根拠と間違えやすい計算方法についてです。
結論のみ先に書くと、期中に株式の変動があった場合には、注意して作成しましょうね。
1株当たり当期純利益とは
法人の発行している株式に対する当期純利益を表したもので、決算書の注記に書きます。
小規模事業者ではあまり活用しませんが、不正確な決算書は
金融機関などの利害関係者の信頼を損ねるので、きちんと書きましょう。
計算の根拠
1株当たり当期純利益は、次のような会計基準によって定められています。
「1株当たり当期純利益に関する会計基準」
「1株当たり当期純利益に関する会計基準の適用指針」
「1株当たり当期純利益に関する実務上の取扱い」
会計基準で定め、実務での運用方法について、適用指針や取扱いで述べられています。
1株当たり当期純利益の計算方法
1株当たり当期純利益の計算方法は以下のように定められています。
![](http://aisaikaoru.com/wp-content/uploads/2021/05/無題-12-700x108.png)
当期純利益を株式数で割ります。
当期純利益が100万円で、株式数が100株であれば、1株当たり1万円です。
期中平均株式数とは
1株当たり当期純利益に似ている注記に、1株当たり純資産額があります。
1株当たり純資産額も、純資産額を株式数で割りますが、この株式数は期末の株式数です。
しかし、1株当たり当期純利益は「期中平均株式数」で割ります。
これが忘れやすいので注意しましょう。
この違いの理由としては、当期純利益は、損益計算書に書かれています。
一方、純資産は、貸借対照表に書かれています。
貸借対照表は、「期末時点」の会社の健康診断書です。
損益計算書は、「1年間」の会社の成績表です。
そのため、1株当たり純資産額は、「期末時点」の株式数を使い、
1株当たり当期純利益金額は、「1年間」の平均株式数を使います。
とはいえ、期中の株式の数に変動がなければ、基本的には期末の株式数と平均株式数は同じになります。
期中平均株式数の求め方はいくつかありますが、
原則は発行した株式数を、発行日から期末日までの日数に応じて計上します。
そこまで厳密にやる必要がなければ、月数に応じた計上も認められています。
例えば、3月末決算法人が、10月10日に発行した100株にかかる期中平均株式数は
100株×6月(10月~3月)/12月=50株となります。
その他、自己株式に係る計算方法などが細かくあります。
計算方法は都度調べれば良いものであり、覚える必要はないので、
株主資本変動計算書に動きがある場合には、1株当たり当期純利益に注意することだけ、覚えておきましょう。