コロナ禍もあり、こども食堂を行う団体が増えてきました。
こども食堂で無料で配布するお弁当の材料費は経費になるの?と聞かれました。
なるのでしょうか、調べてみました。
こども食堂の仕入れは経費になるのか?
今回のケースでは、ある程度公的な団体が取りまとめをし、
協力してくれる飲食店に日にちを割り振り、
その情報を拡散して、各店舗の店頭で
こどもたちに無料でお弁当を配るというスタイルでした。
ひろく宣伝周知されており、マスコミにも取り上げられました。
お弁当を作るのにはお金がかかりますが、
無料ですから、材料費は各飲食店が負担しています。
各飲食店が確定申告をする際に、
この材料費は経費になるのか?という話です。
結論としては、
「今回のケースは経費になりそうだけれど、
他の場合でも必ず経費なるとは言えない。」です。
そもそも経費にならないとは
わたしは税理士ですが、
例えば、わたしがスーパーでカレーの材料を買って、
カレーを作って、それを近所のこどもに配ったら、
材料費は経費になるでしょうか?
やり方にもよりますが、
基本的には経費になりません。
「なにが経費になるのか」ということは、
法律で本業に関係のあるものに決められているからです。
無償で困っているひとを助けることは良いことですが、
かかったお金が事業の経費になるかどうかは、また別の話です。
法人であれば、認められやすい
話を戻します。
お弁当を配る飲食店が法人の場合には、
材料費は認められます。
国税庁もはっきりそう書いています。
コロナ禍でのこども食堂への食料品の無償提供は、
「寄附金」や「交際費」ではなく、
法令上も費用だとあります。
(寄附金や交際費は、いちぶ費用にならない可能性があるからです)
広告宣伝の側面があると別の箇所にはありますが、
法人は事業を行うための社会的な存在であるため、
そのような側面が認められやすいと言えます。
個人の場合は、個別に確認が必要
今回、個人でやっているお店の材料費に関しては、
地域の税務署にも確認したのですが、
今回のケースについては、現時点の解釈ではOKでした。
ただし、根拠法令があるわけではなく、
個別に状況を判断したうえでの、暫定的なOKなので、
本当にOKなのかどうかは、個別の確定申告の内容で
判断されることになります。
では、暫定的にOKになった理由はなんでしょうか。
先ほどの国税庁のページに、以下のような回答があります。
(長いのでめんどうなら読まなくて良いです)
売上の一部を寄付する商品を作って
それを周知していた場合に、
その寄付したお金が経費になるかという質問に対し、
それは広告宣伝の効果があるから、
条件付きで経費になるという内容です。
このあたりのQ&Aと、
今回のケースのこども食堂の状況を総合的に考慮すると、
今回は経費になりそう、ということです。
だから、似たようなこども食堂であっても、
やり方や解釈の違いで「経費になりません」という可能性も
大いにあるわけです。
法人との取扱いに差を感じてしまいますが、
法律というルールありきの話です。
個人事業と違って法人は代表者とは別人格であり、
より厳格なルールが課されているので、
差があること自体はやむを得ないと言えます。
ほかにも、寄付や贈与などをする場合にも、
税金の決まりごとがあります。
なにかしよう!と思い立ったら、
税金について調べることもお忘れなく~。