自分で事業をしているひとは、
国民健康保険税が高いと感じますよね。
なぜこんなに高く感じるのか、
計算方法から考えてみました。
国民健康保険とは
国民健康保険は、医療保険です。
医療保険とは、普段保険料を払うことで、
医療費が発生したときに保険金が下りる保険です。
年齢によって、保険金が医療費の7割~9割おりるので、
本人の負担は3割~1割で済みます。
日本は皆保険制度を採用しており、
必ず公的な医療保険に加入しなければなりません。
法律で義務付けられており、罰金もあります。
わたしは病院に行かないから入らない、
というのはダメなんですね。
ちなみに、国民健康保険「税」と国民健康保険「料」は
名前が違うだけで、内容は一緒と考えてもらってOKです。
都道府県によって違います。
所得税と国民健康保険税を比べてみる
所得税は、個人の所得にかかる税金です。
5%から始まって、儲けるほど税率が上がっていきます。
国に払う所得税が5%、自治体に払う住民税が約10%なので、
所得が200万円位までなら、合わせて約15%です。
国民健康保険税も、所得にかかる保険料です。
計算方法・保険料率は自治体によって異なりますが、約13%です。
そこに平均割が約35,000円、
均等割が約29,000円(年齢による)✕家族の人数分加算されます。
合わせて約15%と言っても大きくは外れないと思います。
すると、住民税を含めた所得税と、国民健康保険税の税率は、
所得が高くないひとにとっては、同じくらいになります。
(実際は、所得の金額によって所得税の税率は上がるし、
国民健康保険税には所得が低いひと向けの減免制度があるので、
あくまでざっくりとしたイメージの話です)
それだけでも国民健康保険税が高いのがわかりますが、
実際には、もっと高く感じます。
たとえば、生命保険料控除、小規模企業共済や
住宅ローン控除をうまく使って、
所得税を「0円」にしているひとはけっこういます。
そういうひとは、国民健康保険税も0円になるでしょうか。
なりません。
税率が同じなのに、なぜならないのか、
それは、「所得」の場所が違うからです。
所得税と国民健康保険税の計算方法の違い
確定申告書で比べるとわかりやすいです。
所得税や住民税は、右上の赤い枠に税率をかけるイメージです。
国民健康保険税は、左中央の赤い枠をもとに計算するイメージです。
大きな違いは、左下の「所得控除」がされているかいないかです。
所得税は、事業で利益が出たとしても、
利益から、生命保険料や小規模企業共済、
医療費控除などを引いて、それに税金をかけます。
出た税金から、さらに住宅ローン控除をひけます。
だから、利益が出ても、所得税は結局0円になったりします。
ところが、社会保険料は左中央の事業の利益に、
家族の利益もあれば合算し、基礎控除(43万円)だけひいて、
いきなり税率をかけます。
なので、事業で利益が出ていたら、保険料はバーンとあがります。
つまり所得税と違い、保険料の「節税」が
できない仕組みになっています。
国民健康保険税を安くするには王道から
国民健康保険税を安くする方法はないのでしょうか。
方法はなくはないのですが、大掛かりだったり、
条件が狭いものが多いです。
たとえば。
■減免・免除制度を使う。
これは、該当すればもちろんやるべきですが、
該当しなければ、どうしようもありません。
コロナ減免などもあるので、情報を取りに行く必要があります。
■世帯を分離する。
たまたま分離したら安くなる状況で、
済んでいる市区町村がOKならできなくはないですが、
これためだけに分離するかは躊躇するところです。
■家族の社会保険の扶養に入る。
入れるならもう入っている気がします。
■国民健康保険組合に入る。
たまたま自分の業種などで入れる組合があって、
金額が安くなるなら良い選択です。
組合がなければ入れません。
■法人を設立して社会保険に入る。
法人設立はハードルは高めで、
社保には会社負担分もあります。
他の状況も踏まえて、きちんと勉強が必要です
■社保のある会社に雇ってもらう。
雇用されていれば、社保に入れて、
自営業は副業扱いになります。
自営業でいくら稼いでも、社保の保険料は変わりません。
変な制度ですが、そうなっています。
都合よく雇ってくれるところが
見つかればの話です。
誰でもできる、現実味のある方法は
費用を増やして、利益を下げることです。
でも、無駄遣いしてキャッシュがなくなったら、本末転倒です。
ですから、キャッシュが流出しない、基本的な方法が大切です。
具体的には以下の方法です。
① 青色申告特別控除を65万円全額控除する
② 青色事業専従者給与を活用する
③ 経営セーフティー共済を活用する
上記の3つは、事業の費用として、
国民健康保険税も安くなるものです。
キャッシュの流出は、①はもちろんありませんし、
②は世帯収入は変わらず、③はあとで戻ってきます。
どれも節税の王道ですから、所得税も安くなります。
節税を考える際には、国民健康保険税も同率ですから、
対策を同時に立てることをおすすめします。