この時期、法人成りを考えている個人事業主から、
「来年から消費税の課税事業者だから、1月までに法人成りしたほうがいいかな?」
という相談をよく受けます。
1月までに法人成りをしない消費税のデメリットを説明します。
法人成りと消費税
最初に、法人成りと消費税の関係をザックリと説明します。
消費税は、「2年前」の売上が1000万円を超えたら納めます。
具体的にはこんな感じです。
★ 2020年に売上が1000万円を超えた
○ 2020年 免税
○ 2021年 免税
● 2022年 課税(2年前の個人の売上1000万円超)
でも、2022年1月までに法人成りしたらこうなります。
★ 2020年に課税売上が1000万円を超えた
○ 2020年 免税
○ 2021年 免税
(2022年1月に法人成り)
○ 2022年 免税(2年前の法人の売上無し)
○ 2023年 免税(〃)
● 2024年 課税(2年前の法人の売上1000万円超)
消費税を納める年に法人成りすると、
免税の期間が2年から4年に延びるわけです。
もし、消費税の納税額が50万円なら、2年延びると100万円お得ですね。
1月に法人成りが間に合わないとどうなるのか
気になるのは、1月までに法人成りをしないと損をするのかです。
2022年から課税事業者になる個人事業主が、
2022年4月に法人成りした場合のデメリットを具体的に考えてみました。
① 個人の確定申告が1回増える
2022年1月~3月は個人事業なので、
3ヶ月分の確定申告をする必要があります。
② 消費税の確定申告が1回増える
2022年が消費税の課税事業者ならば、
3ヶ月分の消費税も確定申告する必要があります。
③ 消費税が個人事業をしていた月分発生する
これがたいせつです。
あくまで単純計算した例ですが、
簡易課税のサービス業で、年間の売上が1000万円ならば、
1年分の消費税は約45万円の計算になります。
月割りすると、45万円÷12月=37,500円です。
4月の法人成りなら、37,500円×3月=112,500円よぶんに
お金がかかるわけです。
「早く法人成りしないと損をする」では判断ができませんが、
「消費税と所得税の申告が1回と、毎月37,500円のコスト」と考えると、
1月までに法人成りする必要があるかどうか、判断できるのではないでしょうか。
わたしは、タイミングが合えば法人成りも良いですが、
消費税だけを理由に無理に急ぐ必要はないと考えます。
確定申告は毎年やってきたことですし、
消費税も簡易課税を選べば自分で簡単にできます。
個人事業で消費税を経験しておくのも、ムダな経験にはなりません。
月4万円とかの消費税はつらいですが、どのみち2年後には払うものなので、
そのお金をアテにしていたら、事業は継続できません。
それに、基本的にはいつ法人になっても最初の2年は免税なので、
通算すれば免税の期間はどのみち4年間です。
消費税は複雑なので、税理士に相談しつつ、気の合う税理士を探しましょう
今回は省略しましたが、
消費税には他にも細かい規則があります。
今話題のインボイスも法人成りに影響します。
消費税の月の負担額もひとによりけりです。
法人成りを検討するときは、税理士に相談しましょう。
できれば何人かに相談して、気の合う税理士も見つけておけば、
法人になったあとも安心ですよ。