インボイスで来年10月から課税事業者になる場合は、
普段はしていない期中のたなおろしを忘れると、
損をするかもしれない、という話です。
たなおろしは商品を数えること
たなおろし(棚卸/店卸)とは、
商品などの在庫を数えること、です。
1100円で仕入れた商品の在庫が100個あったら、
1100円✕100個=110000円分の在庫があるとなります。
たまに、たなおろしを売価で記帳している人を見ます。
3300円で売る商品だから、
3300円✕100個=330000円分の在庫、
という風に勘違いしてしまうわけです。
気持ちはすごくわかりますが、
記帳は基本的に仕入れ値でします。
免税事業者が課税事業者になる場合の、棚卸資産の消費税
ややこしい話なので、簡潔に書きます。
翌年度から課税事業者になる場合には、
免税事業者の最終日に持っている棚卸資産について、
消費税で損をしない調整ができます。
例えば、免税事業者の最後の日に、
商品の在庫が110000円分あるとします。
この110000円分の在庫に含まれる消費税10000円は、
翌年、課税事業者になったときに、引けるのです。
決まった呼び方はありませんが、
「課税事業者(免税事業者)になる際の
棚卸資産の仕入税額控除の調整」
みたな感じです。
…名前が悪いと制度も浸透しにくいと思うんだけど、
制度の名前ってどうにかならないものだろうか。
2023年9月末にたなおろしをする理由
通常は、課税↔免税が変わるのは、年度ごとです。
だから期末にたなおろしをしていれば、
毎月の月末にしていない場合も、問題は生じません。
インボイス制度では、10月1日から課税事業者になるひとが多いため、
期の途中から課税事業者になるひとがほとんどです。
そのため、10月1日から課税事業者になる場合には、
9月30日のたなおろしに含まれる消費税を、
課税事業者になったときに引けます。
![](https://aisaikaoru.com/wp-content/uploads/2022/07/image-700x334.png)
ということは、インボイスが始まる前日に、
たなおろしをする必要がありますね。
簡易課税ならしなくても良い、とは言い切れない事情
簡易課税を選択した場合には、
棚卸資産の調整はありません。
簡易課税は、売上の金額で税額を決めるので、
仕入れた商品は無関係だからです。
簡易課税を選ぶなら、
9月末のたなおろしはしなくて良い、となります。
ところが、そうともと言い切れない、インボイス特例の事情があります。
簡易課税は、通常は前もって選択しますが、
インボイスでは特例があります
2023年10月1日(の属する事業年度)に、
インボイスで課税事業者になった場合は、
簡易課税の選択期限は期末まで、です。
例えば、個人事業者がインボイスの申請書を出して、
2023年10月1日に課税事業者になった場合、
簡易課税を選ぶ期限は、2023年12月31日です。
あとから、税額が安い方を選べます。
簡易にしようと思っている場合でも、
12月に本則がトクなら本則を選べます。
開業年度や新設法人と似たような取扱いです。
![](https://aisaikaoru.com/wp-content/uploads/2022/07/image-1-700x435.png)
最終的に本則を選んだ場合、
9月30日にたなおろしをしていなかったら損ですよね。
必ず簡易にすると決めていなければ、
たなおろしはしておいた方が良いかもしれません。
なお、上記の例だと、
2024年から簡易を選ぶ場合の
簡易課税制度選択届出書の提出期限も、
同じ2023年12月31日になります。
消費税関係の期限は、複雑で、
たくさんの特例があります。
上記の例も、高額特定資産を取得した場合は
細かいところが変わります。
消費税は間違えると税額に大きな影響が出るので、
自分で判断する場合はリスクをご確認願います。
期日前投票に行ってきました。
![](http://aisaikaoru.com/wp-content/uploads/2022/07/IMG20220706121939-700x525.jpg)
ショッピングモールで投票できるようになってから、
ほんとにラクになりました。
戦争や事件もありますが、争いから平和は生まれません。
税金や生活を大切に。
![](http://aisaikaoru.com/wp-content/uploads/2022/07/IMG20220708130854-700x933.jpg)