銀行からお金を借りたのに、契約書や償還表がなかったら、
それは手形貸付ではないでしょうか。
手形貸付について、ざっくりと説明します。
銀行からの借り入れには種類がある
銀行などの金融機関からお金を借りる場合に、
借り方にはいくつかの種類がありますが、
広く一般的に利用されているのは、
① 証書貸付(しょうしょかしつけ)
② 手形貸付(てがたかしつけ)
の2種類です。
わかりにくいのが、
銀行から見ると「貸し付け」ですが、
わたしたちからしたら「借り入れ」ですよね。
ここからは「借り入れ」に読み換えます。
創業や設備投資など、
初めて受ける融資のほとんどは①の証書借り入れです。
「金銭消費貸借契約書」を取り交わすやつで、
事業をしている方はいちどは使っていると思います。
手形借り入れってなに?
手形借り入れとは、
「契約書=『証書』ではなく、『手形』でする借り入れ」です。
なんのこっちゃ?ですよね。
ざっくり言うと。
手形とは、「いくら、いつまでに、だれに払う」と書いてある証書です。
手形を出したひとが、ぜったいにお金を払わないといけなくなる紙です。
契約書を作成して取り交わすのには、手間と時間がかかります。
でも手形は契約書より簡単に取り交わしができるので、
手形を使って融資しようね!というのが手形借り入れです。
手形借り入れの特徴
手形借り入れにはいくつか特徴があります。
① 償還表がない
② 短期の借り入れに使う
③ 利息は先に払う
④ 収入印紙が安い
⑤ 早めに返せるけど、返済期限を過ぎたらたいへん
順番に説明します。
手形でのやり取りなので、償還表は基本ありません。
証書借り入れの返済期間は、1年以上の長いものが多いです。
手形借り入れの返済期限は、基本的に1年以内です。
借り入れの目的も、売掛金や補助金が
入金されるまでのつなぎなどが多いです。
証書借り入れの支払利息は、毎月払うイメージですが、
手形借り入れの支払利息は、基本最初に全額払います。
紙の「契約書」や「手形」には
収入印紙という名の税金を貼ります。
同じ1千万円の借り入れでも、
契約書だと1万円ですが、
手形だと2千円の印紙で済みます。
証書借り入れは勝手に前倒しで返済できませんが、
手形借り入れは期限より早く返してもOKです。
支払利息も戻ってきます。
恐いのは、支払期限を過ぎる場合です。
手形は「お金を払う」という約束の証なので、
期日までに払えない場合は、嘘をついたことになり、
不渡りといって周知がされます。
2度目で銀行との取り引きもできなくなって、
社会的な信用を失い、実質的な倒産に追い込まれます。
そうならないよう、手形借り入れは売掛気や補助金など
返済減資が確実と見込まれる短期の融資によく使われるんですね。