確定申告をしなくてよい人も、確定申告したほうが良い理由

確定申告の季節になりました。

赤字なので、確定申告しなくても良いですか?と、

個人事業をしている人からたまに聞かれます。

しなくてもよい人も、申告することをおすすめします。

確定申告をしなくてもよいひと

事業をしている人で、利益が出なかったひと、

つまり赤字の年は、確定申告しなくて良いです。

また黒字でも、所得控除後の課税所得金額がゼロならば、

確定申告をする義務はありません。

赤字のひとも、課税所得がゼロのひとも、

税額はゼロ円なので、申告しなくてよいとされています。

開業届を出しても、申告は義務ではない

開業届を出したから申告をしなければいけない、

ということもありません。

開業届は「事業を始めました」という届出です。

事業を始めても、申告義務がなければ、

申告しなくて良いわけです。

そうか、開業届を出しても、赤字なら申告しないで良いのか。

じゃあ面倒だし、申告するのはやめよう。

と思うかもしれませんが、そうでもありません。

理由はいくつかあります。

確定申告をしなくても、記帳はしなければならない

事業が赤字だから申告しなくて良い=何もしなくて良い、

ではありません。

事業をしているならば、青色であれ、白色であれ、

帳簿を付けることは義務です。

帳簿がなければ、今年「赤字」だったかどうかはわからないし、

証明もできません。

申告しないひとも、ちゃんと帳簿をつけて、

領収書などをしっかり保管する必要があります。

確定申告をしなくても、同じ計算をしなければならない

黒字だけど、所得控除後の課税所得金額がゼロのひとは、

帳簿を付けて、

所得控除の計算をして、

「ゼロだから申告しなくて良い」ことがわかります。

つまり、ほとんど申告の作業が済んでいるわけです。

帳簿をつけて、所得控除の計算も済んでいるなら、

ついでに申告すれば良いと思います。

いや、少しでも余分なことはしたくないから申告しない、

と思うかもしれませんが、申告にはメリットがあります。

申告すれば、赤字が繰り越せる

青色申告の特典は、赤字が3年間繰り越せることです。

今年出た10万円の赤字は、申告しなければ何にもなりません。

申告すれば、翌年の利益と相殺できるので、10万円の経費になります。

赤字だから申告しない、ではなく、

赤字でも申告するメリットがあります。

申告すれば、還付金が戻ってくる

報酬を受け取るときに、10%くらいの源泉徴収をされているひとがいます。

源泉徴収は、所得税の「前払い」なので、

その年の税金が0円だった場合や、

税額よりも多く「前払い」している場合には、

申告をすると、税務署に前払いし過ぎた分が戻ってきます。

申告しなければ、多く払った税金は戻ってきません。

もったいないので申告するメリットがあります。

申告すれば、市町村の申告をしなくてよい

税務署に確定申告をすると、

自動的に「市町村への申告」が済んだことになります。

確定申告をしないと、市町村への申告もされません。

事業が赤字のひと等は、市町村への申告義務もない場合もありますが、

市町村への申告は影響する範囲が広く、基本的にしたほうが良いです。

市町村への申告をしないままだと、

市町村の所得証明書などが発行できず、

国民健康保険料や各種公共サービスなどの算定などで

不利になったり、手続きができないことがあります。

あわてて役場に申告に行ったという話を良く聞きます。

確定申告をしないで、市町村に申告をするのは、

かえって面倒なので、申告するメリットがあります。

申告をしないと、申告のしかたを忘れる

確定申告は1年に1回だけです。

去年の申告書を見て、やり方を思い出して、

申告が終わる頃にやり方を理解して、

これを毎年繰り返すことで、だんだんスムーズにできるようになっていきます。

今年申告をしないと、2年のブランクができてしまい、

翌年はまたゼロから理解しないといけません。

これらのメリットが当てはまらないひとは、

申告しなくても良いと思いますが、

どれかひとつでも当てはまるひとは、

申告することをおすすめします。

「申告しないでラクする」よりも

「ラクして申告する」ほうを目指している人のほうが、

最終的にはラクをしているように感じますよ。