印紙を貼るもの、印紙を貼らなくても良いもの【契約書編】

「この書類には印紙を貼るの?」という疑問の

良くある事例、前回は「領収書」でした。

今回は、「契約書」の良くある事例をざっくりと。

結論としては、

契約書の「名前」ではなく「内容」で判断する、

自分で作成する大量・高額の文書は専門家に聞く、

印紙を考えなくていい電子契約書は最高、

という感じですね。

「リース契約書」は、印紙を貼らない

リース=車やデスクなどの動産の賃貸と考えた場合には、

基本的には印紙は不要です。

不要ですが、保守契約を一緒に結ぶ場合が多いので注意が必要です。

「保守契約書」は、印紙を貼る

リース契約と同時に保守契約を結んだ場合には、

保守契約に対しては印紙が必要です。

保守契約は、一般的には請負契約に該当するからです。

ちょっとむずかしい話になりますが、

◯「請負」契約には印紙が必要

×「委任・準委任」契約には印紙は不要

という決まりがあります。

事例を交えてざっくり説明します。

工事や製品、業務などの「請負契約書」は、印紙を貼る

工事の請負、業務の請負、

製品などを作る請負など、

仕事の「完成・成果」に対してお金を払う契約書には、

基本的に印紙が必要です。

コピー機の保守や建物の警備も、

一般的には請負に該当する場合が多いです。

税理士や弁護士の「顧問契約書」は、印紙は貼らない

税理士や弁護士などの顧問は委任契約なので、

顧問契約書に印紙は不要です。

請負と委任を分けるのは、

一般的には「成果物」の有無と言われますが、

判断はむずかしいです。

顧問契約書であっても、

契約内容に「決算書の作成」などの項があると、

成果物が含まれるので、印紙が必要です。

「委託契約書」は、印紙を貼る?

業務をアウトソーシングする場合などに、

「委託契約書」という名前を良くつけます。

委託契約書の内容は、

「請負」が多いとは思いますが、

「委任」の場合もあるでしょうし、

それ以外の場合もあるでしょう。

契約書の名前の付け方は、法律で決められているわけではなく、

一般的にわかりやすい名前を付けています。

「〇〇契約書には印紙を貼るの?」ではなく、

「こういう内容の契約書には印紙を貼るの?」

と考えると整理しやすいのではないでしょうか。

商品の「売買契約書」は、印紙を貼らない

商品の売買契約書には、基本的には印紙を貼りません。

しかし、判断がややこしい例外が多いです。

商品が、土地、建物、船舶などである場合には、

印紙を貼ります。

商品の売買が1度きりではなく、

「売買取引基本契約書」など、継続的な場合は、

印紙を貼ります。

商品が、製造した製品であり、請負契約に該当する場合には、

印紙を貼ります。

売買契約書だから印紙は不要と単純に判断すると

間違える可能性がありますね。

「請書」「念書」「覚書」などは、印紙を貼る

文書は名前ではなく、内容で判断されます。

「契約書」という名前が付いていなくても、

契約書と同じ効果があるものは契約書として取り扱われ、

内容に応じて印紙が必要です。

「申込書」「依頼書」「見積書」「注文書」「請求書」などは、印紙を貼らない?

「申込書」は、申込みの事実を証明するだけのものなら印紙は不要ですが、

申込みに対する承諾を証明するものは契約書として取り扱われます。

基本的に、請求書などに印紙は不要ですが、

請求書に受領印が押してあるなど、

内容が実態として領収書や契約書に該当する場合には印紙が必要となります。

内容と使い方次第なので、油断はできないということです。

印紙税は、文書を作った人が納税義務者です。

「自分が作る書類」のうち、間違えたときのリスクが大きい

大量に発行するもの、金額が大きいものは、

文書を専門家に見てもらうのがおすすめです。

「変更契約書」は、印紙を貼る

金額など、契約書の内容を変更する書類には、

基本的に印紙が必要です。

気をつけることとしては、

例えば契約金額を増額する場合に、必要になる印紙が、

増額後の金額のみの記載だと増額後の契約金額に対する印紙、

変更前の金額も記載されていれば増額分だけに対する印紙になるなど、

契約書の書き方によって、印紙の金額が変わる場合があります。

事前に調べてから契約書を作るのがおすすめです。

「電子契約書」は、印紙を貼らない

印紙税は、紙の文書にかかる税金です。

データを原本とする契約書は紙ではないので、

印紙は不要です(そもそも貼れませんね)。

わたしも自分で作成するときは電子契約オンリーです。

電子契約については、印紙が必要なのかどうか、

判断する必要がありません。

印紙代も節約できて、

やらない手はないという感じですね。

「官公庁との契約書」は、印紙を貼るが、相手は貼らない

官公庁の仕事を請け負って、

請負の契約書を2通作って双方が保管するとします。

その場合には、

「官公庁から受け取る契約書」は、印紙は不要で、
「官公庁に渡す契約書」は印紙が必要です。
結果として、

「渡した契約書には印紙を貼るが、受け取った契約書には貼ってない」となります。

また、請負ではなく、

官公庁と「継続的取引の基本となる契約書」を結んだ場合には、

官公庁は営業者でないため、印紙が不要となります。

あと、内閣府が電子契約書を推進しています。

電子契約の推進について:調達情報 - 内閣府
電子契約の推進について

メリットに「印紙税不要」とあり、

DXに印紙税不要という認識が好ましいです。

実際にどこまで使えるシステムなのか、

地方自治体がどこまで対応しているのかは気になります。

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