親が老人ホームに入居して、実家が空き家になってしまった。
実家は親のもので、今さら実家に戻るつもりもないけれど、
このままにしていて大丈夫かな。
そんな話を聞きました。
税金の情報だけですが、
少しだけ考える手助けになるかもしれないので、
ざっくり整理してみましょう。
空き家になった実家の選択肢と不安
空き家になった実家をどうするかと調べると、
「子どもが住む」「賃貸に出す」などの話が出てきます。
でも、実際にはどうでしょうか。
仕事や家族の都合で、今さら実家に帰ることもできないし、
他人に貸す必要もない、嫌だ、という場合も多いと思います。
その場合、現実的に取り得る選択肢としては、
「もう家には誰も住まないから、親にすぐに売ってもらおう」
「親に売ってとは言えないから、相続してから売ろう」
の2択になるひとも多いかもしれません。
ただ、税金など、お金がどうなるのか不安もあると思います。
ここでは不安の解消を目的に、具体的な金額を省いて、
気をつけることだけを書いてみます。
実家を相続前に売却する
実家を今の時点で、
つまり老人ホームに入居している親が、
持っている自宅を売る場合、気をつけることを見てみましょう。
① 親が意思表示ができるか
親の名義の家は、本人がきちんと意思表示ができなければ、基本的には売れません。
認知症などで意思表示ができなくなってから売却をするには、
後見人を選定し家庭裁判所に申し立てをするなど、お金も時間もかかります。
本人の意思表示ができて、しかも売ることに同意するかという
親御さんの気持ちが大切となります。
② 売ったら税金がかかるか
家や土地などの不動産を売って「利益」が出たら、税金を取られます。
長く所有していた家なら、利益の20%くらいの金額です。
ただし、不動産でも「住んでいる自宅」なら、税金が安くなります。
老人ホームなどに入居しても、おおよそ3年以内であれば、
「住んでいる自宅」を売ったことになりますが、
3年を過ぎるとただの不動産とみなされます。
売るタイミングで税金が高くなる可能性があるということです。
③ 残った財産には相続税がかかるか
実家を売却して、親の手元に残ったお金は財産です。
親の財産には、親が亡くなったら相続税がかかります。
相続税は、場合に応じて決められた金額を超えないと発生しないので、
実際に発生するのは、約8%のひとだけです。
亡くなったひと100人中8人だけです。
ただし、金持ちのひと上位8人ではありません。
例えば、相続するのがこども1人だけの場合などは、
金額が大きくなくても税金は発生しやすくなります。
実家を相続後に売却する
事情があって、実家を相続後にしか売れない場合に
気をつけることは何でしょうか。
① 空き家の維持にどれくらい費用がかかるか
空き家であっても、固定資産税は毎年発生します。
また、家の維持管理にもお金はかかります。
空き家が周囲に悪影響を及ぼすほどボロボロになると、
固定資産税が以前の6倍になる可能性もあります。
マンションも、固定資産税と管理費は発生します。
② 空き家を相続したら相続税がかかるか
空き家も財産なので、相続をすれば相続税がかかります。
不動産の評価額は、通常は実際の売値よりも低め(6~8割程度)にされています。
ただし、相続税が発生してしまった場合には、
現金で納付しなければならないので、
現金がない場合には、空き家を急いで換金しなければいけなくなります。
③ 空き家を売るときに税金がかかるか
親から相続した空き家を売るならば、
不動産の売却なので、やはり利益に税金がかかります。
ただ、最近空き家の増加が社会問題となっていることをふまえて、
この相続した空き家について、税金が安くなる特例があります。
空き家特例と言い、ざっくりいうと、
一定の要件に該当する場合にだけ、「住んでいる自宅」と同じように
税金が安くなりますが、要件が厳しめで期間限定です。
この特例が将来使えるかを予測するのは難しいかもしれませんが、
現状で「うちの実家には使えない」という判定はある程度できます。
使えないとわかっているなら、高めに税金を見積もっておくことができます。
誰に相談したらいいのか
実際には、個別の事情があるので、
こまかく事情に合わせて考えていく必要があります。
誰に相談するのが良いでしょうか。
空き家の相談窓口をもうけている都道府県も多いようです。
私の実家は空き家ではありませんが、
地元の県は相談窓口や相談会を開いていました。
http://www.pref.shizuoka.jp/kenmin/km-310/garden/documents/akiya.html
実際に売ろうとした場合については、
家屋の査定を不動産屋がしています。
売った時の税金は、税理士に相談です。
税理士会の無料相談会も、年に数回ですがやっています。
とはいえ、いちばんの相談先は、やはり親御さんご本人でしょう。
相談ができなかったりしにくかったりするならば、
そのことを考えてみることのほうが、
税金のことよりも大切なのかもしれません。