コロナ禍もあり、こども食堂を行う団体が増えてきました。
こども食堂で無料で配布するお弁当の材料費は経費になるの?と聞かれました。
なるのでしょうか、調べてみました。
こども食堂の仕入れは経費になるのか?
今回のケースでは、ある程度公的な団体が取りまとめをし、
協力してくれる飲食店に日にちを割り振り、
その情報を拡散して、各店舗の店頭で
こどもたちに無料でお弁当を配るというスタイルでした。
ひろく宣伝周知されており、マスコミにも取り上げられました。
お弁当を作るのにはお金がかかりますが、
無料ですから、材料費は各飲食店が負担しています。
各飲食店が確定申告をする際に、
この材料費は経費になるのか?という話です。
結論としては、
「今回のケースは経費になりそうだけれど、
他の場合でも必ず経費なるとは言えない。」です。
そもそも経費にならないとは
わたしは税理士ですが、
例えば、わたしがスーパーでカレーの材料を買って、
カレーを作って、それを近所のこどもに配ったら、
材料費は経費になるでしょうか?
やり方にもよりますが、
基本的には経費になりません。
「なにが経費になるのか」ということは、
法律で本業に関係のあるものに決められているからです。
無償で困っているひとを助けることは良いことですが、
かかったお金が事業の経費になるかどうかは、また別の話です。
法人であれば、認められやすい
話を戻します。
お弁当を配る飲食店が法人の場合には、
材料費は認められます。
国税庁もはっきりそう書いています。
![](https://aisaikaoru.com/wp-content/uploads/2021/08/無題-700x454.png)
コロナ禍でのこども食堂への食料品の無償提供は、
「寄附金」や「交際費」ではなく、
法令上も費用だとあります。
(寄附金や交際費は、いちぶ費用にならない可能性があるからです)
広告宣伝の側面があると別の箇所にはありますが、
法人は事業を行うための社会的な存在であるため、
そのような側面が認められやすいと言えます。
個人の場合は、個別に確認が必要
今回、個人でやっているお店の材料費に関しては、
地域の税務署にも確認したのですが、
今回のケースについては、現時点の解釈ではOKでした。
ただし、根拠法令があるわけではなく、
個別に状況を判断したうえでの、暫定的なOKなので、
本当にOKなのかどうかは、個別の確定申告の内容で
判断されることになります。
では、暫定的にOKになった理由はなんでしょうか。
先ほどの国税庁のページに、以下のような回答があります。
(長いのでめんどうなら読まなくて良いです)
![](https://aisaikaoru.com/wp-content/uploads/2021/08/無題-1.png)
売上の一部を寄付する商品を作って
それを周知していた場合に、
その寄付したお金が経費になるかという質問に対し、
それは広告宣伝の効果があるから、
条件付きで経費になるという内容です。
このあたりのQ&Aと、
今回のケースのこども食堂の状況を総合的に考慮すると、
今回は経費になりそう、ということです。
だから、似たようなこども食堂であっても、
やり方や解釈の違いで「経費になりません」という可能性も
大いにあるわけです。
法人との取扱いに差を感じてしまいますが、
法律というルールありきの話です。
個人事業と違って法人は代表者とは別人格であり、
より厳格なルールが課されているので、
差があること自体はやむを得ないと言えます。
ほかにも、寄付や贈与などをする場合にも、
税金の決まりごとがあります。
なにかしよう!と思い立ったら、
税金について調べることもお忘れなく~。