帳簿がない副業・兼業は雑所得になるという改正通達

8月に、売上が300万円以下の副業・兼業は

雑所得になるという通達(案)のパブコメを募集しているので

反対意見を送りましょうという記事を書きました。

この通達(案)は社会的にも注目を集め、

7000件のパブコメが寄せられました。

先日、正式な通達が公表されました。

内容が大きく変わったので、ざっくりと説明します。

「300万円以下の副業・兼業は雑所得」(案)はボツ

原則として、売上が300万円以下の副業は雑所得とする、

という改正案は、ボツになりました。

良かったです。

パブコメが7000件というのは、通常の10倍だそうで、

「異例の関心」という表現も見かけました。

人数だと7000人です。

たった7000人程度の意見でボツになった、

という見方もできます。

意見を表すこと、伝えることは大切で、

ときには効果があると感じることができました。

原則として「帳簿がない副業・兼業は雑所得」「帳簿があれば事業所得」

正式に決まったあたらしい通達をざっくり言うと、

原則として、

「帳簿がない副業・兼業は雑所得」

です。

逆に言えば、基本的には

「帳簿がある副業・兼業は事業所得」

となります。

帳簿というのは、

要するにfreeeとか、弥生会計とかのことです。

エクセルでも大丈夫です。

「帳簿がない」とは

帳簿がない、というのは具体的には次のような場合です。

1年間、経費のレシートや領収書を溜めておきます。

申告の時期に、領収書を科目別に分けて、

電卓で足して、決算書を作成し、そのまま申告している。

この方法は、レシートと決算書しかありません。

帳簿はないとなります。

帳簿があれば絶対に事業所得、ではない

この通達は2023年3月の確定申告から適用されます。

ということは、2022年分=今の申告ですね。

これからあわてて会計ソフトを購入して記帳をする

ひとが増えることは想像できます。

気をつけてほしいことは、

帳簿があれば絶対に事業所得ではない、

ということです。

「事業所得は、社会通念上事業と言える程度がどうかで判断する」

という原則は以前と同じです。

今回の通達は、

「帳簿があるなら、社会通念上事業と言える程度の場合が多い」

という考えに基づいて、

帳簿があるなら原則事業所得でOKと書かれています。

そのため、帳簿があっても、

事業と言える程度とは言えないならば、

それは雑所得です。

通達の解説には、雑所得になり得る具体例として、

3年程度連続して副業の収入が本業の1割未満であったり、

副業が赤字だったりする場合には、

帳簿があっても事業かどうかは個別判断だと書かれています。

今回の通達で、

「帳簿を付けるのは嫌だ」というひとには、

雑所得にすれば良いですと言えるようになったので、

わかりやすくなった印象です。

正式なソースは以下です。

「所得税基本通達の制定について」の一部改正について(法令解釈通達)|国税庁
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