コロナ感染のリスクが高い業務に就いているスタッフがいるので、
そのスタッフだけ会社で医療保険に加入したいのだけれど、
保険料は福利厚生費になりますか?と聞かれました。
福利厚生費ではなく給与になる
相談のあったケースでは、
会社にいくつか部署があり、
現場で働くスタッフが外部との接触が多いため、
そのスタッフのみ保険に加入し、
事務所で働くリスクが低い事務スタッフなどは
加入しないということでした。
今回のケースで加入する医療保険の保険料については、
全社員が対象であれば、福利厚生費として認めらますが、
一部の従業員だけが対象の場合には、給与として取り扱われます。
給与として取り扱われる=現物支給です。
現物支給とは、給与を金銭以外のもの
(例えば、寮や定期券など)で渡すことです。
保険に加入した社員の給与にプラスされる「保険料手当」と
考えてもらうとイメージしやすいと思います。
給与とみなされると、保険料の分の給料が上がったことになるので、
源泉所得税が、値上がりします。
社会保険料も、上がる可能性があります。
現物支給で、金銭でもらえる部分は増えてないので、
社員からすると、
「保険に入ってもらって、いざというときに保険金が
おりるのはありがたいが、手取り分は減ってしまった。」
ということになり得ます。
コロナによる危険手当
一部の社員を対象にしたコロナの医療保険は
「危険手当」に似ています。
医療従事者に対する危険手当については、
都道府県が補助金を出したりもしています。
一般の業種でもリスクが高い社員に対しては、
見返りを供与したいという会社も多いです。
今回のように保険を付与するのか、
危険手当を付けるのか、
それとも賞与で支給するのか。
社員の心情も考慮しながらの判断が求められます。
補足:保険料の取扱いはとても複雑です
今回のケースでは、福利厚生費であれ給与であれ、
費用(損金)になる前提でしたが、
必ずそうではありません。
会社が加入する保険料の税務上の取扱いは、
保険が生命保険なのか、それ以外か、
受取人が誰か、保険の期間や保険料、
返戻金の内容などによって、取扱いはとても複雑です。
あわてて加入して、あとからしまったとならないよう、
事前に税務上の説明をしっかり受けましょう。