税理士がよく聞かれる質問、
「個人事業と法人、どっちで起業するのか良いの?」
「いつ法人成りするのか良いの?」
の参考になる良書を見つけました。
個人・法人のメリット・デメリットを知れば意思決定できる?
「法人成りは損か得か」みたいな本はたくさんあります。
個人事業と法人のメリット/デメリットをズラーッと
書きつらねてあり、勉強にはなります。
しかし、読んでも「私はこっちだ!」とはなりにくい。
内容が「どっちが得か」ということに終始しているからです。
たとえば「税金が得」というのは判断のいち要素に過ぎません。
独立開業時に個人・法人に悩んだら読む本の決定版
先月2021年9月に出版されたこの本は、
特に独立開業をするひと、
開業していて法人成りに悩むひとには
うってつけの本です。
『個人事業と法人どっちがいいか考えてみた』
(高山弥生著、税務研究会出版社、1,980円)
ヘタな税理士事務所に相談するよりこの本の方が役に立つでしょう。
簡単に内容を説明します。
『個人事業と法人どっちがいいか考えてみた』 の内容とおすすめの理由
内容は、独立開業を考えている美容師さんが、
親しくしている税理士に個人・法人どっちで開業しようか相談をする本です。
くだけた会話形式で書かれているので、読みやすいし、わかりやすい。
最初に、税金の比較の話が出てきますが、一般的な話に逃げずに、
社会保険も含めて金額のシュミレーションの例示を出した上で、
法人成りの利益の金額や、社長の役員報酬の金額まで具体的に提示しています。
しかも、著者の考えに立脚した理由も書かれており、非常に参考になります。
税理士によって考え方も違うので、この本を事前に読むだけで、
様々な意見もより理解できるようになると思います。
本の中では、税理士と一緒に、
社会保険労務士と、司法書士にも話を聞きに行きます。
独立開業・法人成りを考えたとき、
社長は、雇用と会社設立に関する具体的な課題に直面します。
それらの課題も、わかりやすく解説しています。
さらに、資金調達についても解説しています。
独立開業時に誰もが直面する、色々な本に書いてあるテーマを
とても具体的かつ実践的にコンパクトにまとめてあって、
大切なことが凝縮してある感じです。
税理士も(自戒も込めて言いますが)なかなかここまで
わかりやすくはしゃべれません。
「本に書かれている内容くらい知ってるよ」と言う
税理士事務所関係者は多いと思いますが、
知っていることと、相手に伝えられることは別ですから。
本の中の美容師さんは、結局法人ではなく、個人事業で開業することとなります。
このあたりの理由にもリアリティがあり、おもしろいです。
もちろん、業種や事業内容によっては最初から法人化が向いている場合もあり、
この本を鵜呑みにしようという話ではありません。
ただこの本はこのジャンルでは、本当に良書だと思うので、
独立開業や法人成り悩んでいるひとには、一読をおすすめします。
むずかしい本が好きなひとや、とにかく情報量が多い本が良い人、
違う業態の話を聞いても参考にならないと考えるひとは
読んでもピンとこないかもしれませんので、おすすめしません。
わたしは、わかりやすい本が大好きなので、
この著者の本を全部(あと3冊)即ポチってしまいました。