年末調整セミナーで、「勤労学生控除ってなんですか?」という質問が多いです。
わたしも聞かれて「なんだっけ?」となりました。
つかえるのかどうかをわかりやすく説明します。
勤労学生控除とは?
勤労学生控除をざっくりと言えば、
「フリーターやパート主婦(主夫)は、103万円まで無税だけど
アルバイトをしている学生は、130万円まで無税にしましょうね」
というものです。
学生とは、小学生・中学生・高校生・専門学生・大学生などを指します。
学生は、他の人よりも年間27万円分よぶんに稼いでも、税金がかからないわけです。
27万円分よぶんに働くより、親の扶養に入ったほうがいいかも
ところで、親は子どもを扶養していると税金が安くなります。
16歳から18歳の子どもがいる場合には、ひとり38万円の扶養控除があります。
19歳から22歳の子どもがいる場合には、ひとり63万年の扶養控除があります。
19歳から22歳の子どもは大学生に相当します。
学費や仕送りなどでお金がかかってたいへんだ、ということで親が優遇されています。
ところが、子どものアルバイトの年収が103万円を超えてしまうと、
親の扶養控除がなくなります。
そのため以下のように「子どもの勤労学生控除か/親の扶養控除か」の選択を
迫られることになります。
①子どもがアルバイトで130万円分はたらく
②子どものアルバイトは103万円に抑えて、親が扶養控除38万円/63万円を受ける
親としては、②を選択してもらい、税金を安くして、
そのぶん仕送りを増やすから、アルバイトより勉強に精を出してくれ…となりがちです。
このように、勤労学生控除は、親から見ると使いづらい制度です。
勤労学生控除の使いどころ
苦学生にとっては、130万円まで働いても税金がかからないというメリットはあります。
また、親の所得が低く税金が発生しない場合に、
実家に少しでも多く生活費を入れたい学生にもメリットはあります。
15歳以下の小中学生には、扶養控除がありません。
子ども手当が毎月1万円もらえるからです。
労働基準法で小中学生が働ける仕事は制限されているので、
勤労学生控除は、新聞配達や子役をしている小中学生が、
年収130万円まで働ける制度と考えることもできますね。
なお、学生の年収が130万円を超えると、勤労学生控除は「無かったこと」になり、
急に高い税金が発生します。
さらに、130万円を超えると、親の社会保険の扶養からも外れるため、
自分の健康保険証のために、健康保険料も負担しなければなりません。
アルバイト学生が130万円を超えて稼ぐことは、現実的にはかなり厳しいと言えます。