コロナもあり、補助金や助成金の相談が増えました。
確定申告書の控えを無くしたというひとが多いので、
保存方法と、なくした場合の再発行の方法についてまとめました。
そもそも申告書の保存は義務ではない
わたしも調べていてハッとしたのですが、そもそも「申告書」には保存義務がありません。
保存義務があるのは「帳簿書類等」です。
元帳、仕訳帳、出納帳、財務諸表や領収書などには保存の義務があり、
「○年間は捨てちゃだめ」と決められています。
そこに申告書は入っていません。
申告書にあるのは「提出義務」であり、提出した証拠である控えは、
わたしたちが「自分のため」に保管するものです。
本当のところはわかりませんが、税務署も受け取った申告書を永久に保存しているわけではなく、
保管場所の都合で、10年程度で廃棄しているのではないかと言われています。
必要となる時のために、申告書は自分で保存しましょう。
申告書の控えとはなにを指すか
「申告書の控えを出して」と金融機関や給付金事務局から言われた場合になにを出せばいいか?
(先方が「これでいい」と言えばそれでいいので、あくまで私見です)
実は、申告書の提出方法によって出すものが異なっています。
【申告書を紙で提出した場合】
一般的には「収受日付印の押された申告書の控え」です。
これはわかりやすいですね。
ただし、申告の時に自分で控えを印刷して一緒に提出しなければ、
控えはもらえませんのでご注意を。
【電子申告で提出した場合】
今は、一般的には「受信通知」と「電子申告したと書いてある申告書」を指す場合が多いです。
わかりにくいですよね、説明します。
確定申告コーナーなどで電子申告した場合の提出=データの送信になります。
データを送信しても「電子収受日付印の押された申告書の控え」はもらえません。
「データを送ったよ」という通知と、「データを受け取ったよ」という通知が来ます。
この「データを受け取ったよ」が「受信通知」と呼ばれています。
これが受信通知です。
「は?」と思いますよね、私もそう思います。
受信通知とも書いてないし、収受印の代わりになるような重要な書類にぜんぜん見えない…
でもこれを使いなさいとe-tax側も認めています。
もともとは収受印として使う予定ではなかったものが、
運用上しかたなく慣行になったものだと思うので、
わかりやすい書類が出るようになることを望みます。
税理士事務所によっては、独自の申告証明書を作ったり、
独自の送信済み印を押しているところもありますが、
それはお客さんへのわかりやすさのためであり、受信通知もきちんと付けると思います。
話を戻します。
送信をしたあとに、確定申告書や決算書を印刷する場所があり、その申告書には
上の方に【電子申告等データの内容を表示しています】とあります。
そのため「受信通知」+「電子申告したよと書いてある申告書」のセットが、一般的な控えになります。
わたしは、申告時でPDFにプリントアウトして、PDFデータを保存しています。
私が派遣された税務署の確定申告会場では、
電子申告を会場でした納税者にその場で控えを印刷して紙で渡している様子でした。
ペーパーレスではないですが、現状やむを得ないのかもしれませんね。
紙の申告書の控えをなくした場合の再発行方法
【急いでいる場合は「閲覧請求」】
申告書を提出した税務署に行き、窓口で閲覧請求をすると、
提出した申告書をその場で見せてもらえます。
コピーはできませんが、写真を撮ることはできます。
■必要なもの
・申告書等閲覧申請書(下のリンクから取れます)
・本人確認書類(免許証など)
・印鑑
■欠点
・営業時間に税務署まで行かなければならない
・コピーは取れない
・本人以外は委任状など別の書類が必要
【紙の控えが欲しい場合は「開示請求」】
申告書を提出した税務署に請求書を提出し、2週間から1ヶ月待ちます。
OKの通知が来たら、申告書の控えを受け取ります。
■必要なもの
・保有個人情報開示請求書(下のリンクから取れます)
・300円の印紙
・本人確認書類(免許証など)
・印鑑
※マイナンバーなしの申告書の控えの場合です
■欠点
・時間がかかる
・300円かかる
・郵送でもできるが、30日以内発行の住民票原本が必要
電子申告の申告書の控えをなくした場合の再発行方法
【閲覧請求する方法】
紙の場合と同じく、税務署に出向いてその場で写真を撮る「閲覧請求」はできます。
ただし、受信通知は閲覧できません。
電子申告した場合の閲覧できる申告書には、上の方に受信した日時らしきものや
数字が書かれています。
これを提出済の申告書と見てくれるのかは相手によるかと思います。
【確定申告書作成コーナーで電子申告した場合】
やり方はココに載っています。
実際にやってみてわかったのですが、
「電子申告したと書いてある申告書」は取れますが、
「受信通知」はデータでは取れません。
ただし、上記の「Step5」の箇所で、「受信通知」が画面に出るので、
画面をそのまま印刷するのが良いかと思われます。
■欠点
・マイナンバーカードとカードリーダーが無いと見られない
・5年(1900日)たったら削除されるので見られない
受信通知は「メッセージボックス」というメールフォルダみたいなところに入ってますが、
5年経つと消えます。
また、マイナンバーカードがないと中が見られないようになっているとQ&Aにもあります。
ボックス一覧は見ることができて、そこに受付日時と手続き名、受付結果が書かれているから、
提出の証拠にならないとも言えませんが、これでOKしてくれるところはたぶんないのでは。
マイナンバーカード(とカードリーダー)がないとお手上げというのが現状ではないかと思います。
【その他の方法】
国税庁が使っているe-taxソフトを使ってデータを取得・印刷する方法もありますが、
確定申告書作成コーナーで電子申告した場合のやり方をさらに複雑にした方法なので、
ここでは紹介しません。
また、電子申請等証明書を請求するという方法もあります。
実は、これが電子申告した場合の、紙に代わる正式な控えと国税庁は位置づけていました。
電子署名が付された正式な申告のデータだからです。
ただ、正式なもののため、手続きや取扱いが面倒で、
そこまでのものは誰も求めていないため、実際にはほとんど使われていません。
けっきょく、どの方法もパッとしない
書いていて思いましたが、どの方法も面倒で、パッとしません。
税理士に申告を依頼していたとしても、税理士が責任を持って保存してくれる保証はありません。
(わたしは、現時点ではデータで共有するという方法を取っています)
ちゃんと保管して失くさないのがいちばんラクなので、
保管する場所を決めておきましょう。