複数の事業所得(お店&農業など)があるひとの決算書・収支内訳書

農家をしながら、製造や小売もしている場合に、

決算書や収支内訳書はまとめるのか、分けるのか。

どちらが正しいでしょうか。

事業所得と不動産所得だったら、別々に分けるけど…

最初に、簡単な事業所得&不動産所得で考えてみましょう。

フリーランスで、アパートの大家さんもしてるひとをイメージしてみます。

フリーランスは、事業所得。

アパートの収入は、不動産所得。

所得が別々なので、決算書もとうぜん別々です。

白色申告の場合は収支計算書ですが、同じです。

ところが、これは「損益計算書」の話です。

「貸借対照表」は、合算して、1つだけ作ってもOKです。

合算したほうが楽か、別々に作ったほうが楽かは、

経理の仕方や、不動産が事業的規模/業務的規模かどうかによって

変わると思うので、自分がやりやすい方を選びましょう。

農家とお店なら、どちらも事業所得

農家をしながら、製造や小売など、農業以外もしている場合は、

不動産と違って、どちらも同じ事業所得です。

ところが、決算書の種類は別になっています。

農業だけなら迷わず農業用ですが、

兼業の場合はどうしたら良いでしょう。

…正解は「別々に作る」です。

通達には以下のように書かれています。

国税庁HPより

要するに、

不動産業を兼業している場合とまったく同じように、

農業+農業以外をやっているなら、損益計算書は別々に作ってね。

貸借対照表はまとめてね、と書いてあります。

(だたし、貸借対照表は、まとめなかったとしても、

 合算するだけですから、ダメとは言われないと思います。)

なお、白色申告の場合も同じ取扱いです。

国税庁HPより

ちなみに、農業+製造だけれど、製造に使う原材料が

すべて農業からの自家製なら、農業用に合算しても良いという

意見もみかけましたが、根拠が見つからなかったので、

もしなにかわかったら後日追記します。

複数の事業所得がある場合の実際の経理のイメージ

今日のテーマは、農家のひとから、

「うちは製造にシフトしていきたいので、一般用にまとめて良いか?」

という質問がきっかけでした。

農業に詳しい友人の税理士にも聞いてみたのですが、

分けることになっているけど、それだけじゃなく、

農業独自の基準があるため、

むしろ一般用にまとめずに決算書を分けたほうが、

逆にシンプルに、間違えずに入力ができるよと教えてくれました。

会計ソフトへの入力方法は、ソフトによりけりな部分もありますが、

部門管理がおすすめとのことでした。

イメージとしては、「製造部門」と「農業部門」をつくって、

損益科目のみ部門を付けておけば、

損益計算書は別々で、貸借対照表はまとめて

すぐに作ることができますね。

部門管理ができなかったり、よくわからなければ、

直に科目で分けてしまうのもアリだと思います。

このあたりは、個別の状況に合わせて、

JAや青色申告会、ソフトメーカーや税理士などに

相談するのが良いと思います。

〇〇用の決算書が整理できてスッキリしました。

なお、農業法人の場合には、個人の場合のような基準の違いもなく、

こういった悩みはないそうです。

法人化のメリットと言えないこともありませんが、

農家が減少し、兼業や多角化も当たり前となってきた今の状況と、

制度が乖離しているような印象も受けます。

決算書は統一する方向での改善を望みます。

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