個人事業主や小さな法人役員の節税と言えば、小規模企業共済。
まずはわかることが大切ですから、細かいことは省いて、
ざっくりと全体像を知っておきましょう。
小規模企業共済ってなに?
小規模企業共済は、毎月お金を積み立てて、
将来そのお金を受け取るもの=貯金です。
貯金だけど、税金が安くなる貯金です。
具体的には、こんなイメージです。
①毎月、自分で決めた掛け金を積み立てます
②確定申告で、年間の掛け金は利益からひけるので、そのぶん税金が安くなる
「毎月貯金してるだけなのに税金が安くなった!」
でも、払ったときに税金が安くなるものは
受け取ったときに税金がかかるのが鉄則。
こんなイメージです。
③廃業や法人成り、65歳になった時などに、積み立てたお金を受け取れます
④受け取ったお金には税金がかかるけど、優遇されるので税金は安いです
「貯めたお金を受け取ったけど、かかる税金は安かった!」
貯めながら節税できて、
受け取るときは退職金と同じ税制優遇が受けられる。
個人事業主は、会社員と違って退職金がありません。
そのため小規模企業共済は、個人事業者の退職金とも呼ばれます。
なお、加入できるのは、規模の小さい個人事業主と会社の役員のひとだけです。
「貯金」なので「経費」ではありません。
確定申告の計算に使うだけで、
事業には関係がないものです。
掛け金はプライベートの出費ととらえてくださいね。
小規模企業共済で安くなる税金とは
小規模企業共済で安くなる税金は、
①所得税
②住民税
です。
国民健康保険料は、残念ですが安くなりません。
どれくらい安くなるのかは、ひとによって違います。
ポイントは、
①たくさん貯金するひとほど安くなる
②たくさん儲けているひとほど安くなる
ということです。
具体的な金額は、小規模共済のHPにも載っています。
毎月1万円貯金してた場合に安くなる税金は、
所得が200万円のひとは20,700円ですが、
所得が400万円のひとは36,500円なので、
倍近く違いますね。
掛け金でシュミレーションもできます。
掛け金は、毎月1,000円から、上限の70,000円まで、
自分で決められて、途中で変更もできます。
小規模企業共済が良いと感じるひと
まず、所得が多いひと、税金の負担を減らしたいひとです。
所得が多ければ、安くなる税金も大きく、
毎月の掛金の負担感は少ないです。
それから、定期預金などのように、
使えなくてもお金が貯蓄できることが
好きなひとです。
小規模企業共済は、65歳以上でもらうためには、
それまでに15年間続けることが条件です。
コツコツ貯めて、計画的に取り崩すことが必要です。
リスクの少ない運用をもとめるひとです。
小規模企業共済は国の機関が運営しており、安心です。
利回りも、予定利率で1%となっており、
銀行よりは高いけどiDeCoなどより低いです。
低くとも安定していると言えます。
小規模企業共済が良くないと感じるひと
所得がゼロだったり、少ないひとです。
個人事業で、いつも所得はトントンのような
確定申告をしているならば、
そもそも節税になりません。
業績に波があり、資金もギリギリで、
途中で解約したくなるかもしれないひと。
20年以内に途中解約すると、元本割れ(積み立てたお金より
戻ってくるお金が少ない)します。
お金がない場合は、毎月1,000円で続ける、
もしくは積立金を元に借入れができます。
それでも途中で解約するかも、というひとは、
最初からやらない方が良いです。
廃業する気がなく、長生きできるかなんてわからないと思っているひと。
元気な間は仕事を続けるのであれば、
廃業で受け取る可能性は低くなります。
その場合、65歳以上で受け取ることになりますが、
そんなに長生きできるかわからないし、
死んでから遺族に残しても仕方ないと考えているなら、
そのひとの考え方に合った、別の方法をとるべきです。
小規模企業共済に入ったほうが良いのか?
小規模企業共済は、上記のような、ただの制度です。
制度の内容をおおざっぱに理解して、
「自分に合うなあ」と思うなら、良い制度だと思います。
逆に「あまり好きじゃない」と感じたらなら、
むりに入る必要はありません。
なお、実際の制度はかなり複雑です。
今回はわかりやすさを優先して貯金に例えました。
興味があるかたは、商工会や金融機関などの
お近くの代理店や、税理士などへ相談しましょう。