法人・個人の減価償却の話です。
読んでも意味がわからない箇所をわかりやすく解説します。
「償却方法の変更」と「償却方法の届出」は違う
減価償却の方法は、個人・法人ごとに、かつ資産の種類ごとに、
原則の方法が決められています。
なにもしなければ、自動的に原則の方法が適用されています。
原則以外の方法に変更したい場合には、
「減価償却資産の償却方法の変更承認申請書」を提出します。
この変更の提出期限は、「前もって」です。
具体的には、
法人ならば変更したい年度の前年度の末日まで、
個人ならば変更したい年の3月15日まで、です。
そのため、年の途中で「やっぱり変更したい」となっても、
変更ができません。
「変更」はできませんが、「届出」ならできる場合があります。
たとえば、今月10月から事業を始めた場合、
「前もって」申請はできないですよね。
その場合は、「減価償却資産の償却方法の届出書」を届け出ます。
この届出期限は、法人・個人どちらもその年の確定申告期限なので、
期末後に、申告書と一緒に出せばOKです。
年の途中でも「減価償却資産の償却方法の届出書」が出せる場合
「後出し」でもだいじょうぶな「届出」は、
おもに以下のような場合に出すことができます。
① 新規設立・開業時
② すでに償却方法を選定した減価償却資産以外の減価償却資産を取得した場合
③ 新たに事業所を設けた場合の、その新たな事業所の資産
①の開業時は当然なので、いいですよね。
③は、新しい支店や支所を開く場合のことです。
減価償却の償却方法は「事業所ごと」に決められます。
新しい事務所を作ったら、そこにある資産は①の開業時と同じように
選べるわけです。
「すでに償却方法を選定した減価償却資産以外の減価償却資産を取得した場合」とはなにか
②の文章は、読んでも理解できません。
これは、
「これまで「車両」「機械」「備品」などを持っていなかった個人・法人が、
初めて「車両」「機械」「備品」などを買ったとき」
という意味です。
減価償却の償却方法は「資産の種類ごと」に決められます。
新しい種類の資産を買ったら、
これまでその資産の償却方法を選択してなかったから、
①の開業時と同じように選べるわけです。
(法人税法施行令第51条2項4号、所得税法施行令第123条2項2号)
わかってしまえば「なあんだ」ですよね。
そう思えるのがいいことです。