万が一、事業で払いきれないほどの負債を抱え、
普通の生活を送ることができなくなったとき、
自己破産により借金などの返済義務は免除されます。
しかし、税金は免除されません。
消費税のインボイスで課税事業者が増えたとき、
自己破産する個人事業主の負担が増加するのではないでしょうか。
破産しても、個人の税金などの支払い義務はなくならない
破産法では、破産しても税金は帳消しにならないと
定められています(破産法第253条)。
借金がなくなっても、未納の所得税や消費税は、
払い続けなければならないわけです。
税金以外にも、社会保険料や慰謝料、賠償金なども免除されないそうです。
しかし、法人が破産した場合には、法人は消滅してしまうため、
基本的には税金も含めた債務が消滅します。
個人事業と異なり、代表者や株主が代わりに税金を払うわけではありません。
(例外もあります)
滞納が多い税金は消費税
2020年の税金の滞納件数は328万件、うち消費税は121万件で全体の37%。
滞納金額だと全体で8286億円、うち消費税は3245億円で全体の39%。
日本の未納の税金の4割は消費税です。
しかも、消費税率が上がっているからか、
2020年に新規で発生した滞納額5915億円のうち消費税は3456億円で、
新規に発生している滞納の6割は消費税という計算になります。
(国税庁統計年報より)
法人税や所得税は、利益にかかる税金なので、赤字なら基本的に発生しない。
消費税は、本業が赤字であっても納税額は発生する。
だから、滞納が増えやすいと推測できますね。
消費税のインボイス制度と自己破産
インボイス制度で、消費税を払う事業者が増えることが予想されます。
そうなれば、消費税の滞納も増加する可能性があります。
もし、滞納したまま自己破産したとしても、
そのひとは、未納の消費税をずっと納めていかなければなりません。
インボイスは税金の制度ですが、
事業者にとっては、事業をしている社会の「環境の変化」なのだと感じますね。