源泉徴収の対象となる謝金や報酬を支払う場合でも、
源泉徴収をしなくても良い個人事業主がいます。
どのような場合なのか、整理しておきます。
源泉徴収の対象となる謝金・報酬とは
フリーランスなどの個人事業主に対して、報酬を払う場合に、
1割引かれて入金がされると聞いたことがありますよね。
たとえば、私は個人事務所の税理士ですが、私に払われる税理士報酬は、
基本的に10.21%が引かれて振り込まれます。
これを源泉徴収と言います。
かんたんに言うと、報酬を払う側で税金を1割引いて、国に先払いする制度です。
この源泉徴収は、なんでもかんでもされるわけではありません。
「講演料」や「税理士報酬」など、国が「これとこれ」という風に決めた
報酬だけが、源泉徴収の対象となります。
たとえば、「プログラミング」は源泉徴収の対象には入っていないので、
プログラマーが本業でお金をもらっても、基本的には源泉徴収されないわけです。
(Webデザインや原稿が作業に入っていれば源泉されますが)
なにが源泉徴収の対象なのかは、国税庁のHPにも載っています。
一覧表のリンクも貼っておきますね。
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/gensen/aramashi2020/pdf/07.pdf
たいせつなことは、なんでもかんでも源泉徴収しなくて良いということ。
たとえば、写真の報酬は源泉対象ですが、その内容には、
「雑誌、広告その他の印刷物に掲載するための写真の報酬・料金」とあります。
ということは、印刷物に掲載しない場合、たとえばWeb掲載用の写真なら、
源泉徴収は不要です。
ただ、この判断はむずかしいです。
それで、まちがえないようになんでも源泉徴収しておくという
事業者も見かけますが、フリーランスに負担を強いるという意味で
あまり良い方法とは言えませんね。
人を雇っていない個人事業主は源泉徴収をしなくてよい
源泉徴収は、謝金を払う側がする作業です。
10.21%引いて払って、引いた分を税務署に納める。
たまにフリーランスから源泉に対して文句を言われる(笑)。
引かれるのも嫌ですが、引く側も面倒なわけです。
しかし、源泉徴収をしないでも良い人がいます。
「給与の支払者でない個人」です。
要するに、人を雇っていない個人事業主です。
不動産のオーナーをしている個人事業主など、けっこういます。
例えば、わたしはひとり税理士なので、人を雇いません。
私がフォトグラファーに印刷用写真の撮影料を払う
としても、源泉徴収はしなくてよいわけです。
理由として、給料を払わないひとは、
給料の源泉徴収者として登録がされていないことと、
小規模事業者の事務負担を減らすためかと推測します。
細かい例外として、
給与を払っていても、2名以下の家事使用人(!)に対する給与なら
やっぱり源泉しなくて良いとか、
源泉徴収しなくて良いひとでも、ホステス(!)に対する報酬なら
源泉徴収しないとだめとか、
ありますが、関係するひとはごく少数だと思います。
繁忙期だけ人を雇っている個人事業主は?
それより気をつけるのは、フリーランスなんだけど、
繁忙期だけ日雇いなどでアルバイトを雇っている場合などです。
日雇いや短期であっても、雇用だし、給料なので、
「給与の支払者でない個人」ではなくなります。
では、繁忙期だけ人を雇っている個人は、
報酬を払ったときも源泉徴収しないといけないのか?
源泉徴収をしなくても良い場合が多い、と考えられます。
「給与の支払い者でない個人」に該当するかどうかは、
その報酬を支払う日の現況により判定することになっています。
つまり、フォトグラファー等に報酬を支払うのと同じタイミングで、
給与を支払い源泉徴収をしているならば、
報酬に対する源泉徴収もしますが、
逆に給与の支払いがないときならば、源泉は不要と判断できます。
給与の支払者でない個人のひとは、なるべくラクをしましょうね。