先日、お金を受取るときに、
振込手数料を誰が払うのか、
というブログを書きました。
法人の場合は支払う相手に負担してもらい、
個人の場合は差し引いて振込んでもらってこちらが負担する、
という考え方を紹介しました。
しかし、この広く行われている
「振込手数料を差し引いて振込む」というやり方は、
インボイスだと手続きが、オニのように面倒になります。
【2023年12月19日追記】
2023年の税制改正大綱にて、
少額の返還インボイスの発行義務が免除されることとなりました。
そのため、振込手数料を差し引かれた場合でも、
インボイスは発行せずに値引きをしてもOKとなる見込みです。
支払い人が負担する場合の、振込み手数料のインボイス
手数料を支払い人が負担する場合。
仕訳だと、以下のようなイメージです。
【支払い人】
未払金10000円/預 金10220円
手数料 220円
【受取る側】
預 金10000円/売掛金10000円
手数料220円には消費税が20円含まれています。
振込手数料を負担した支払い人は、
手数料220円のインボイスが欲しいですよね。
具体的には、以下がインボイスになるでしょう。
【銀行の窓口で振込んだ場合】
インボイス=「振込依頼書の控え」など
【ATMから振込んだ場合】
インボイス=「不要」
※自動販売機特例により不要
【ネットバンクで振込んだ場合】
インボイス=未確定
※ダウンロードする「振込明細」などがインボイスになる等、
電子インボイスでの対応が予想されます
要するに、支払い人が手数料を負担する場合は、
今と運用はほぼ変わりません。
受取り人が負担する場合の、振込み手数料の処理
代金を受取る側が手数料を負担する場合、つまり、
支払い人が振込み手数料を差引いて振込んだ場合です。
これがややこしくなります。
仕訳だと、以下のようなイメージです。
【支払い人】
未払金10000円/預 金10000円
【受取る側】
預 金 9780円/売掛金10000円
手数料 220円
受取る側は、手数料を負担しているので、
手数料220円のインボイスが欲しいですよね。
でも、インボイスを持っているのは支払人。
どうするのか?
この場合、受取る側の選択肢は3つあります。
【方法①】
受取る側が、支払い人から、
1⃣ 振込依頼書などのインボイスと
2⃣ 立替金精算書など
を受取る。
理屈としては、受取る側の費用(手数料)を、
支払う側が立て替えて払っていると考えて、
支払う側が支払時に立替えた220円を、
支払時に買掛金と精算したイメージです。
実際には、受取る側が支払い人に向かって、
「振込のインボイスと、立替金精算書をください」
とは言えないでしょう。
そのため、この方法は現実的ではないと見られています。
【方法②】
受取る側が、手数料の220円を値引きしたと考えて、
支払い人に返還インボイスを交付する方法。
仕訳にすると以下のイメージです。
【払う側】
未払金10000円/預 金10000円
(手数料 220円/仕 入 220円)
※実際の仕訳ではなく、イメージです
【受取る側】
預 金 9780円/売掛金10000円
売上値引220円
これが現実的だと言われていますが、
私は賛成しません。
受取る側が手数料を引かれて、
さらに、返還インボイスまで作成しなければなりません。
それはひどいと思います。
【方法③】
何もしない。
その代わり、受取る側は振込手数料の仕入税額控除をしない。
受取る側ががんばって手続きしたところで、
振込手数料の消費税額は微々たるものです。
だったら、手数料にかかる消費税を捨てた方が、
よほど効率的ではないか、という考え方です。
この方法が良いと思います。
(この方法、受取り人はそれで良いと思いますが、
支払い側には、
1⃣ 受取り側から受け取った10000円分のインボイス
2⃣ 銀行から受け取った220円分のインボイス
合計10220円分のインボイスが手元に残ります。
支出したのは10000円だけです。
支払い人が税務署から、
「10000円のインボイスは、9780円の間違いなので、
誤っておりインボイスとは認めません」
と言われるリスクはないのか、もやっとが残ります…)
対応はいろいろありそう
振込手数料を受取人が負担するのが
一般的な業界もあるようです。
その業界が、支払い人の作成する
仕入明細書や出来高精算書などを
インボイスとしているならば、
それで対応もできるかもしれません。
でも、支払い人の方が力が強く、
受取り側が負担したくない手数料を負担していたのならば、
インボイスを契機に、慣習を変えるチャンスです。
わたしはサービスとして手数料を負担しているので、
悩んでいます。
今考えているのは、
双方で振込手数料相当額を〇〇円と決めてしまい、
最初から織り込んで請求しようかなと考えています。