2023年10月1日から始まるインボイス。
目には見えない変更点に、端数処理の変更があります。
インボイスの発行をする事業者にとっては、
準備が必要な点になります。
端数処理ってなに?
端数処理とは、
「1円未満の金額をどうするか」
ということです。
具体的には、
・切捨て
・切上げ
・四捨五入
などの方法があります。
端数処理のいろいろな方法
税抜金額93円のコーヒーを例に考えてみましょう。
コーヒーをテイクアウトすると、消費税は8%です。
いくら払えば良いでしょうか?
93円✕108%=100.44円ですね。
日本円は、1円玉より小さい硬貨はないので、
0.44円は払えません。
100.44円→100円(切捨て)
100.44円→101円(切上げ)
100.44円→100円(四捨五入)
となります。
大切なことは、どれも間違いではないということです。
100円のお店も、101円のお店も存在します。
お客さんは、好きなお店で買うだけです。
端数処理。1本ずつするか、まとめてするか。
次はちょっとむずかしいです。
さっきのコーヒーを3本まとめて買うと、いくらになるでしょうか。
切捨てのお店で買った場合で考えてみます。
93円×108%=100.44円→100円(切捨て)
100円✕3本=300円
300円です。
当たり前ですね。
でも、同じ切捨ての店でも、
違う方法があります。
93円×3本=279円(税抜)
279円×108%=301.32円→301円(切捨て)
税抜価格を3本足して、
その後に消費税を計算して、
最後に切捨てたら301円になりました。
わからないという人は、こう考えてみてください。
切り捨てる前の本当の価格は、
1本100.44円でしたよね。
100.44円×3本=301.32円です。
1本ごとに切捨てれば、3回切捨てるので、
切捨てる金額は大きくなります。
3本まとめて切捨てれば、1回しか切捨てないので、
切捨てる金額は少なくなります。
1本100円のコーヒーを3本買ったら301円!?
となりますが、実際には、
1本100.44円のコーヒーを3本買ったら301.32円です。
間違いではありません。
301円のお店も存在します。
しかし、非常にわかりにくいので、消費者には不評です。
そのため、その計算方法をするお店では、
チラシや値札などに「100.44円」などと書かれていたりします。
ここまでで、
「端数処理って、思ったよりめんどくさいな」
と伝わるかと思います。
残念ですが、まだ他にも方法があります。
税抜価格と税込価格
こんどは、税込価格を基準にして考えてみます。
このお店では、お客さんに負担をかけたくないので、
税込価格ジャスト100円でコーヒーを売っています。
私がお客さんなら簡単です。
1本100円、
3本なら300円です。
でも、レシートには消費税が書いてあります。
どうなるでしょうか。
100円×8/108≒7.40円
7.40円→7円(切捨て)
7.40円→8円(切上げ)
7.40円→7円(四捨五入)
税込価格を基準に、消費税を逆算するイメージです。
それも認められています。
念のため、3本買った場合も考えてみましょう。
1本ずつなら、
7円×3本=21円
でも、3本まとめて計算すると、
300円×8/108≒22.22円→22円もしくは23円です。
21円、22円、23円、
どれも間違いではありません。
お客さんが事業者だった場合を考えてみると、
お客さんもお店側も、たった300円の取引で税金が1円も2円も違うので、
大変なように見えますが、実は重要性はありませんでした。
税金の計算の話になるので理由は省きますが、
要は納付する税金の金額には影響がなかったためです。
税額に影響がないなら、税務署は興味が無いので、
計算方法は自由だった、という見方もできます。
ところが、2023年10月からインボイスが始まると、
この端数処理がめんどうになります。
2023年10月1日からインボイスだと認められなくなる方法
最初に断っておきますが、
あくまでインボイスを発行する事業者だけの話です。
以前ブログに書きましたが、
免税事業者や、インボイスは申請しないという事業者は、
インボイスは発行できないので、関係ない話になります。
インボイスでは、端数処理の新しい決まりができました。
「端数処理は、領収書1枚につき、1回だけね!」
というものです。
レシート1枚に端数処理は1回、です。
(もし10%と8%のものを買ったら、それぞれ1回です)
上の事例で言うと、3本コーヒーを買ったら、
端数処理も3本まとめてしなければいけません。
インボイスでは、1本ずつはできなくなります。
せっかく今までわりと自由だったのに、
なんでこんなにめんどうな決まりを増やすのでしょうか。
個人的な意見ですが、
インボイスになると、
領収書に書かれた消費税で計算するという方法が出てきます。
税務署的には、税金は1円でも多く取りたいので、
商品ごとに切り捨てるなんてだめ!
ということでしょうか。
インボイスに申請する事業者は、要システム対応
インボイスに申請する事業者は、
レジなどが上記の決まりに対応していない場合は、
システムの対応が必要になります。
ちなみに、課税事業者でも、
インボイスは申請しないのであれば対応は不要です。
誤解が多い部分になりますが、
課税事業者=インボイスではありません。
申請した事業者だけがインボイス発行者となります。
この程度の理由で、
これだけの事務負担を納税者に課すインボイス制度。
現行の制度設計ではブルシットジョブを増やします。
導入延期を望みます。
近所の海で、3年ぶりの花火大会。
前日に台風に襲われて、イスとか並べ直してました。
おつかれさまでした。
わたしはベランダからのんびり見ました。