飲食店から「樽生」の樽を返すと戻るお金の処理を聞かれました。
生ビールがたっぷり入っている容器のことですね。
仕訳は契約通りなのですが、
消費税の処理がちょっと複雑なので整理してみました。
「容器保証金」制度の仕訳
飲料の販売には容器保証金という制度があります。
例えば、酒屋などがお酒をリユース専用樽などに入れて販売する際に、
酒代と一緒に保証金を預かり、カラの容器を回収するときに
保証金を返すという方法です。
1本10000円の樽生なら、
9000円…ビール20リットル
1000円…容器の保証金
そういう内訳になっているイメージです。
飲食店側がこの樽生を仕入れた時の経理方法を聞かれたわけです。
【飲食店が樽生を購入した時】
仕 入(課 税)9000円/買掛金10000円
保証金(不課税)1000円
【飲食店が容器を返却した時】
買掛金1000円/保証金1000円
契約の内容にもよりますが、これが基本的な考え方です。
容器を破損・紛失して返せなくなった場合
容器を破損・紛失するなどして、
返せなくなった場合はどうすれば良いでしょうか。
これは、契約の内容によって2通りの方法が考えられます。
【その①】
仕入、雑損失など(課税)1000円/保証金1000円
樽が返却できなくなったため、預けた保証金1000円が返ってきません。
この1000円を仕入などの経費に計上するわけです。
科目よりも、消費税を課税にすることが大切です。
【その②】
雑損失(不課税)/保証金1000円
同じく、保証金1000円を雑損失などの経費に振り替えますが、
こちらは樽の賠償金という考え方なので、
雑損失の消費税が不課税になります。
【見分け方】
請求書などにわかりやすく書かれていれば良いですが、
わからない場合は、
「樽を返却できなかった場合の保証金の振替収入は、
課税売上/不課税売上どちらにしていますか?」
と仕入先の酒屋さんに聞いてください。
消費税は基本的に相対取引なので、
相手が課税ならこっちも課税、相手が不課税ならこっちも不課税となります。
容器保証金は払っていないが、空きビンを買い取ってくれる場合
容器保証金制度を採用していない場合はどうなるか、
今度はジュースのビンで考えてみます。
飲食店が仕入れたビン入り清涼飲料水(容器保証金は払っていない)の、
空きビンを仕入先に返却すると、ビン代がもらえるという場合。
【飲食店がビン入り飲料を購入した時】
仕入(課税軽8%)1080円/買掛金1080円
購入時はビンも含めて、すべて仕入です。
清涼飲料水は食料品なので、
ビンの代金が含まれているとしても、すべて軽減税率8%です。
【飲食店が空きビンを返却(売却)した場合】
売掛金20円/雑収入(課税10%)20円
本業の副産物なので、ビンの売上は雑収入に計上します。
空きビンは食料品ではないので、10%売上になります。
空きビンなどの容器の処理は、特に消費税が複雑ですね。
飲料メーカー、卸、酒屋、飲食店、消費者など、
それぞれの立場によっても、さらに細かい規定があるので、
もし空きビンの取り引きがある場合には、
事前に確認することをおすすめします。
ビールの空きビンで思い出すのは、
スーパーでお酒が売っていなかった子どもの頃、
酒屋さんが家の庭にある物置に、
ビールケースに入った瓶ビールを置いていくんですよね。
親からビールを取ってきてと言われたら、
空きビンを持って寒い物置に行って、
ビールを取ってくるというお手伝いがありました。
飲んだ分のビールは、酒屋さんが補充のさいに精算してたのでしょう。
今はいつでもコンビニに買いに行けますが、
いつでも自宅の物置に瓶ビールが配達されているほうが贅沢ですね。