1年ぶりのマイ・フェイバリットです。
今年出た音楽、旧譜も交えた今年聴いた音楽です。
早速行きましょう!
アナヴィトーリアの新譜。
AppleMusicが、今年なにをどれだけ聴いたのか
知らせてくれるのですが、
わたしはこのアルバムをいちばんかけていたそうです。
ブラジルの女性デュオ。
誰にでもすすめられるグッドミュージックです。
アルバムはオーガニックな雰囲気ですが、
フルバンドだとこういう感じで、
実力派のベテランですね。
エセル・ケインの新譜。
このアルバムは大好きというよりも、
ここまで凄いとつい再生して聴き入ってしまう。
美しさと情念がスピーカーから滲み出てくる。
疲れた夜に聴くと、元気にはならないけど、笑、
音楽と一体になってしまう。
女性SSWだけど、
歌わない曲でもエセルさんの音がして、
曲と演奏全体が彼女の表現そのもの。
ホークテイルとヴィーセンの共作アルバム。
アメリカのブルーグラス系のホークテイルと、
ひとり脱退して2名になってしまったスウェーデンの
大ベテランヴィーセンとの共作。
ひとり減った分の音圧やカラフルさが、
今作ではホークテイルで逆に増強されている。
曲の質、緊張感、演奏、どれも非のつけようのない良作。
これは3人いたころのヴィーセン。
ギターデュオによるバッハのゴールドベルク変奏曲の新名盤。
「1本の木から作った双子のギター」で奏でてるらしいです。
詳しいことはわかりませんが、
最初の一音、ピアノに聴こえるところから、
すさまじいパッセージの早い楽章まで、
新たなゴルドベルクの名演が生まれた喜びに
ただただ満たされる1時間。
ロザリアの新譜。
2022年の『MOTOMAMI』、
そして今作と、
超名作を2連続で出したロザリアは
もう伝説級のミュージシャンと言えるでしょう。
ロンドン交響楽団を大胆に起用しているおり、
音像は前作と違うようで、
あたまがおかしいほどの過剰さは前作と変わらず
どの曲も異様なテンションを内包していて、
引きずり込まれます。
前作の「HENTAI」のように、
いちぶ日本語の曲もあり、
母語だとひりついた感じがよく伝わります。
なお、イヤホンか、低音が出るスピーカーで聴かないと、
このアルバムは魅力が半減します。
今年の夏、ビーチの1枚。
ホームフランゴのEP。
好みのどストライク。
全然情報がないのですが、
ヨーロッパの2人組ユニットらしいです。
めちゃくちゃ良いのです。
夏にビーチで、ビールを飲みながら、
この曲をかけていたら天国ですからね。
そういう気分や空気を届ける音楽も偉大な音楽です。
Yeことカニエ・ウェストの新譜周辺の音源のEP。
DONDAで変則リリースに振り回されるのは飽きたので、
ビデオリリースや他のヴァージョンなどはスルー。
サブスクで聴けるこのEPしか聴いていませんが、
この3曲はとても良いですね。
音楽以外のことでしか話題にならなくなりましたが、
音楽は良いです。
デヴィッド・バーンの新譜!
あのアメリカン・ユートピア以来の新譜。
お聴きの通り、新譜はさらに明るい。
おじいちゃんもう悟っちゃったのかしら。
すばらしい快作。
音楽も若々しいけれどちゃんと年も取っていて、
かつ、グッドミュージック。
めちゃくちゃすごいことだ。
アノーニさんのNPR。
説明不要のただひたすら美しい音楽。
むかしのアンソニーアンドザジョンソンさんです。
なんとなくこのひとは表に出ない人なのかと思いこんでいて、
今回始めてご本人が歌うのを見ました。
美しく、表現そのものである声。
凛としたたたずまい、強さを秘めた言葉。
成熟し精錬された演奏。
LGBTQの立場から、キリスト教保守派への言葉は力強く
スカッとします。
生でみたいミュージシャンがひとり増えました。
『スタン・ゲッツ 音楽を生きる』

学生時代からスタン・ゲッツが好きで、
ルーストセッションは愛聴盤。
そして、ゲッツが亡くなる3か月前の
1991年のラストライブ盤『people time』は
音楽を超えた世界遺産です。
なんというか、
一生これだけ聴いていても、
それはそれでいいというか。
イージーリスニング的音像でありながら、
甘さではなく、美しさが鋭すぎて光る。
もとい。
ゲッツは幸い活動期間が長く、
1940年代から1991年まで、
残された音源が半世紀分あるわけです。
ゲッツ好きの村上春樹さんが訳したこの伝記を、
サブスクとAIを使って、
聴いながら読んでいます。
こういうことです。
本を読んでいて、書かれている場面例えば、
「1953年のゲッツとブルックマイヤーのセッションの音源」
とAIに言えば、
「はい、これです」と曲をサブスクで呼び出してくれます。
喫茶店でコーヒーを飲みながら、
本とスマホとイヤホンだけで、
コレクターのような聴き方ができるのです。
昭和生まれのひとは、
これがどれだけ贅沢なことかわかると思う。
ひたすらありがたい。
リングダウンの『レコニング』。
キャロライン・ショウとダニ・リーのプロジェクト。
良い!どストライク!
ダニさんがオーガニック感が強いので、
キャロラインさんのポップさがわかりやすく出ている。
アルバムも出ていて、他の曲も良いです。
ナンバーアイのイナズマ。
超いまさらですが。
去年妻から『GOAT』を教えてもらってましたが、
この曲は今年になって聴きました。
すごい。
低音の平野さんのラップ、
高温の岸さんのラップ、
そしてプロデュースの神宮寺さん。
その後の曲がややワンパターンではありますが、
このパターンの完成形として名曲。
小学生の息子とズマズマ言ってます。
ミュージックアワードジャパン2025のオープニング。
これも嬉しい誤算。
このオープニングにやられたひと多いですよね。
日本の音楽賞に興味は皆無でしたが、
本当に日本の音楽が世界で普通に聴かれるようになっていくのかと感じさせる映像。
無意味な権威や大人の事情が少なく、
アイドルと演歌も混ぜてますが、混ぜ方が括弧付きで、
ピアノもYOSHIKIとかが弾いていたら興醒めですが(ごめんなさい)、
そんなこともなく。
ここからどう行くのか日本。たのしみですね。
2025年は世界で売れた日本人のアルバムも良かったですね。
なんといっても藤井風。
これはプロデュースの成功も大きいと思う。
以下の記事がとてもわかりやすいです。

本人はドキュメントなどで、
80年代や90年代の音楽について話していましたが、
個人的には近年の男性SSW直系と感じてます。
レックス・オレンジ・カウンティの2017年のこの曲と、
藤井風のこの曲を聴くと、
歌の根底に流れるソウルの部分は
まさに直系だと感じます。
そしてベイビーメタルのチャートインも話題になりました。
エレクトリックコールボーイですよ、
やったね!
すばらしい相乗効果です。
90年代オマージュと言えば、ノーガイダンス。
すごい好き。
既聴感がすごい。
大学生の頃に流行ってたと言われたら信じてしまいそう。
ただ、2年前に曲を出して、
褒めている記事を散見しているわりに、
なんというかあまり動きがないような。
来年あたりアルバムを期待してます。
ホースガールのEP
今年のコーチェラで知りました。
なぜ馬。
顔を出さないミュージシャンが当たり前になりましたね。
顔バレしないほうが、私生活も豊かに過ごせそうですものね。
奇抜に見えて、本質はまっとうで聴きやすいロックミュージックでもあります。
ホワイトファング、ハロー。
同じくコーチェラ経由。
息子が気に入って、かけると踊り狂ってくれます。
小学生に伝わる音楽は強度がある。よい。
フレッドアゲインのフジロックの配信はやばかったですね。
正直、フレッドアゲインは、
これまでアルバムを聴いても良さがわからなかった。
でも初日のトリで、機材トラブルで押しに押して始まったライブは、
最初から引き込まれて、圧巻でした。
見たらわかりますが、フレッドさんの身体性がすごいある。
ダンスやエレクトロの演者って身体性の有無、表現方法が
バラエティに富んでいるとも言えるし、
動きが少ないぶん苦労しているようにも見える。
フレッドさんはかなりメインの演奏をするし、
言葉と映像が情緒的なので、
ライブだと曲の情報量が過剰なほど伝わる。
フレッドさんの謙虚でオープンマインドであろう
人間性まで伝わるようです。
なので、曲の魅力も熱量もすごいです。
配信を見たあとにアルバム聴いて、やっと
そうか!となりました。
マイ・フェイバリット常連の
FKJとユセフさんによるデュオライブ映像作品。
最高です!
ふたりの良いところが出てますね。
私はユセフさんがシンプルなドラム・セットの時の
音が好きですが、これはわりとごつめ。
FKJのような、ひとりループプレイはスタンダードになってきましたが、
やはり映像で見ると魅力が倍増します。
ミゲル・アンウッド・ファーガソンの
2023年末に出た3時間半を超える大作。
いろいろなアーティストの音源で度々目にする名前で、
このアルバムの参加メンバーもとても豪華。
音楽的には、クロスオーバー感が強めのジャズですが、
このひとの個性なのか、演奏が風景のように流れやすい音像。
2009年に、J dillaの曲をジャズ寄りのオーケストラで
編曲・演奏して評価されていたそうです。
これもいいですね…、知りませんでした。
SSWのキャット・パワーさんが
ボブ・ディランのライブ・アルバムを再現したアルバム。
これは逆の話で、
このアルバムを聴いてディランの元のアルバムの
良さが理解できた。
ディランのアルバムは一通り聴いてましたが、
実はそこまで好きになれずで。
それは自分の聴く力不足だからしょうがない思ってた。
それが、キャットのアルバム聴いてから、
ディランのアルバム聴きなおしたら、どっちもすごく良い!
特にディランの良さがはじめて染みて染みて。
こういう、さかのぼって良さを教えてくれる作品、ありがたいです。
ディランを教えてくれる作品としてもすばらしいです。
キャットさんはこのアルバムの来日ツアーも好評、
ディランは映画も大人気。
こうやって好きなものが増えていくのは本当に嬉しいものです。
ディランを好きになったタイミングで
心を射抜いてきた鈴木美貴子ズ。
ギターボーカルとドラムで元夫婦と言えば
ホワイト・ストライプスだがそうでもなく、
歌詞は青臭いようで、
尖った中年のようでもあり、
音も古いようでアニソンぽい絶叫でもあり、
これしかできないようで試行錯誤の結果のようでもある。
とてもいいです。
こんなに怒り続けるの大変そう。
子どもだった頃と対比して、
疲れた大人の生活の象徴の言葉の羅列の
「扶養家族税金手当借金家賃⋯」は笑ってしまった。
生で観てみたいですね。
⋯と思ったら2026年新譜発売前に、
47都道府県路上ライブをやっているそうで、
ガチの路上ですね。
もし沖縄に来た日にタイミングが合えば。

今年の5月に初めてライブを見たのろしレコード。
これも胸を射抜かれました。
曲の後半は、歌詞が山之口貘の『歯車』になります。
高田渡さんの『年輪・歯車』へのオマージュだと思うが、
生でいきなり聴いた時、こんな魂の承継の仕方があるのかと
感動してしまった。
井上園子さんも5月にライブで聴きました。
有無を言わさぬ説得力。
こういう才能のかたまり!みたいな登場しちゃうと、
その後が大変なんじゃないだろうか、
という余計な心配をしてしまうくらいすごい。
今年一番最初に聴いた曲。
こういう企画でちゃんと当ててくる
大槻さんはさすが。
さかのぼって柴田聡子さんの名曲も知りました。
2026年はどうなるのかなあ⋯
エクスペリメンタルミュージックの作曲家
カリ・マローンさんの2023年末のアルバム。
曲としては、合唱、金管楽器、オルガン。
どの手法でも、響き、音を重ねたときに心に共鳴する、
心に起こる味わいがあるのです。
ロックミュージックとかを聞いたときに、
心に呼び起こされるものと同じなので、
普通に聴いて、普通に感動できる。
めちゃくちゃ長いロンクトーンが多くて、
再生機が壊れたかなと心配になる長さ。
ブルースやロックのロングトーンと、
ここにあるロングトーンは変わらないと思う。
わたしが鍵盤を押しただけでは同じ響きにならないであろう響き。
アルゼンチン出身のR&Bヒップホップのデュオ
カトリエル&パコ!
NPRで知りました。
むすこもブンブンブンブンバイ♪と歌うほどのキャッチーさ。
フックのある曲でありつつ、
バンドの生演奏がいいですよね。
ダミ声もやたらといいし、歌もやたらうまいし、悪いところがない。
あれよという間に世界で人気になり、
今年のフジロックでも盛り上がってました。
2024年秋のジェイミーxxのソロ2作目。
音楽は、良し悪しではなく、
友人と一緒で、出会いや相性だと感じます。
今の私が共感できるか、
寄り添ってくれるような気持ちになるか。
第一印象はアルバムの1曲目。
だからわたしにはアルバムの1曲目が、
もっといえば最初の音の印象がとても重要。
このアルバムも1曲目から
ピアノと声がスーッとからだに染み込みます。
そのまま2曲目以降もアップテンポでも
音像がややオフ気味というか、
落ち着いてアガれて、
ドライブでも、夜に小さい音でも心地よく流れます。
メアリーハルヴァーソンとビルフリのデュオ。
2018年の超ド名盤を聴き逃してました。
ジョニー・スミスへのトリビュート盤ということですが、
これらギタリスト3人の美の結晶。
家族の朝ごはんや夕ご飯どきに流してます。
これ、いいわあ。
ぴよんぴよんしたギターの音色が、
すべての風景、団らん、孤独を包容してくれます。
妖怪道中記のサントラ。
ネタではないです。
ファミコンのゲーム音楽は優れたものが多く、
小学生当時の郷愁も相まって聴けるものが多い。
特にコナミ。
悪魔城ドラキュラ、グラディウス、イー・アル・カンフー、
がんばれゴエモンなど。
この妖怪道中記もファミコンの懐かしさもあるけれど、
今聴いたらYMOっぽくてほんとにいい。
もちろんYMOが先なんだけど、
でもYMOがゲームミュージックから影響を受けて、
そのYMOがゲームミュージックに影響を与えているだから、
これは大きくひとつのムーブメントの財産とも言えますね。
思い出し思い出ししながら書きましたが、
さすがに1年分は書ききれないですね。
年1回だと、今聴いている音楽ではなくなってしまうから、
やっぱり季節ごとくらいには書きたいと感じました。


